2026年1月25日 06時00分 会員限定記事
裁判官が制止したのに法廷内のやりとりの録音をしたなどとして、男性弁護士が昨年11月、所属する弁護士会から業務停止6カ月の懲戒処分を受けた。刑事裁判の被告弁護人などを務めた男性。裁判所から過料を命じられたにもかかわらず、録音にこだわってきた理由と経緯をたどると、一つの疑問が浮かんだ。裁判の記録は、誰のためのものなのか。(太田理英子)
◆裁判官「根拠など答える必要ありません」
「今は弁護士と名乗れないんです」。処分を受けたのは、大阪で弁護士として活動してきた中道一政さん(45)。事の発端は、2023年5月にあった二つの裁判での出来事だった。
そのうち1件は、弁護人を務めた大阪地裁での刑事裁判の第2回公判。机上に小型録音機を置いていると、裁判官に制止された。
裁判官 録音してますか。
中道さん 答えません。
〈中略〉
裁判官 その機械をしまってもらえますか。電源を切ってしまうように命令します。
中道さん その根拠は。
裁判官 根拠など答える必要ありません。これで従わないならば、退廷を命じますよ。法廷警察権に基づいて今、命令してますので。
「法廷警察権」は、裁判所が審理の妨害をする人に退廷を命じることなどができる権限だ。
◆その日のうちに開かれた「制裁裁判」で
中道さんは、前月にあった初公判の際、録音許可の申請をしたが認められなかった。録音を試みることは、事前に被告も了解していたという。第2回公判で不許可理由が示されないことが不服で録音を続け、退廷を命じられた。警備員に囲まれてもとどまろうとすると、手錠を掛けられ、外へ運び出された。
その日のうちに、裁判所の職務執行を妨害したときなどに開かれる「制裁裁判」が開かれた。傍聴人や被告が対象になることが多く、弁護人はまれ。退廷を命じた裁判官が5分ほど尋問した後、過料3万円を命じる決定が出された。
もう1件は、大阪家裁堺支部であった少年審判での出来事だった。少年の付添人を務めた中道さんが、録音していたことを自ら申告。裁判官にデータの消去を求められたが、応じなかったという。大阪弁護士会は、二つの裁判での中道さんの行動が「弁護士としての品位を失うべき非行」と判断した。
このほか、中道さんは同年7月、担当した刑事裁判を巡り、書記官が自身との法廷外でのやりとりを記録した聴取書が不正確などとし、書類を引き裂いて抗議。この件も、懲戒処分の対象になった。
◆「弁護側が検証のための証拠を持てないのはおかしい」
中道さんは書類を破いた行為は「やりすぎた」と反省を示すが、録音を巡る処分には納得していない。
なぜ、録音にこだわるのか。中道さんは「裁判所の判断や、公判で記録される調書の内容に疑義が生じたとき、弁護側が検証のための証拠を持てないのはおかしい」と訴える。過去に別の裁判で4回申請したが、いずれも却下された。
書記官が記録する公判調書は「おおむね信頼できるものの、裁判所と弁護側の見解が対立したとき、裁判所側に偏った内容になることがある」と強調。作成された調書は、弁護人や検察官から異議が出されなければ、絶対的な証拠能力を持つとされる。
中道さんは、少年審判など非公開の審理ほど、第三者の目が行き届かないため検証手段が不可欠だという。「裁判所の判断が正しいか否か議論できるようにするには、正確さと信頼性を担保できる記録が必要だ」
◆録音が認められる例は「あまりないのでは」
弁護人を含む訴訟関係人による法廷内の録音は、「刑事訴訟規則」の中で裁判官の許可が必要と規定されている。申請自体が少ないとみられるが、認められる例は「あまりないのでは」と最高裁の担当者は話す。
許可を必要とする理由について、この担当者は「規制もなく放置されると、法廷の秩…
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/464322
引用元: ・日本の法廷はなぜ、録音できないの? 求め続ける弁護士と裁判所の言い分 外国では録画、ネット配信も (中道さん) [少考さん★]
録音録画が広く配布されたら突っ込まれたり論破されたりするから嫌なだけ
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