・なぜ地方の普通列車は、ここまで変わったのか
青森から仙台まで、701系電車のロングシートに座り続けて8時間以上。
この体験については筆者の記事(青森→仙台を8時間超 701系「通勤電車」のロングシートに座り続けたら何が起きたか)でも詳しく触れているが、この中で改めて感じたことは、正直に言えば「旅」というよりも「修行」に近い感覚であった。
なぜ地方の普通列車は、ここまで快適さを削ぎ落とした車両になってしまったのか。
・ボックスシートが当たり前だった時代
この疑問の背景には、東北各地を走る701系電車という存在がある。原則としてオールロングシートを採用したこの電車は、しばしば「地方に通勤電車を持ち込んだ象徴」と語られてきた。
しかし実際には、そこには鉄道会社が快適さを選ばなくなった理由が、はっきりと刻み込まれている。
701系電車は、1993年から東北地方に導入された一般形電車である。設計思想は「重量半分・価格半分・寿命半分」をコンセプトとした首都圏の209系と共通し、軽量ステンレス車体やシンプルな構造を特徴とする。
だが、東北地方ではそれ以前、電気機関車がけん引する12系や50系客車、キハ40・58系気動車といったデッキ付きボックスシートの車両が主力だった。
長距離を移動しても苦にならず、「汽車旅」の雰囲気を味わえる空間がそこにはあった。
・デッキなし・ロングシートへの急転換
それが一転、デッキなし・オールロングシートの701系電車に置き換えられたとき、多くの利用者が違和感を覚えたのは自然なことだろう。
筆者自身も、1996年3月のダイヤ改正前後で50系客車と701系電車の双方に乗車し、その変化を身をもって体験したことは、筆者の記事(使い捨て電車と揶揄された「走ルンです」 東北を走り続ける701系とはどんな車両なのか)でも触れている。
しかし、オールロングシート化には、単なるコスト削減以上の理由があったという指摘も多い。
例えば、701系電車導入以前のボックスシート車では、4人掛けを1~2人で占有するケースが目立ち、混雑時でも座席が有効に使われない問題があった。
また、高校生の飲食による車内の汚れ、客車列車特有の機回し作業など、運用面の非効率さも無視できなかったという指摘だ。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2ee5ba0b5cbe51e9056db87e6dce43a2d1cd9f7f
引用元: ・地方鉄道が「快適さ」を選べなくなった理由 ロングシート化が進む普通列車の現実 [567637504]
・ロングシートが「管理しやすい空間」である理由
オールロングシートは、詰め込み効率を高めるだけでなく、「他人の目」が行き届きやすい構造でもある。
座席に荷物を置き続ける行為を抑制し、マナー向上を狙う意図があったとしても不思議ではない。
特に地方路線では、毎日利用する通勤・通学客の存在が運行の基盤であり、鉄道会社が彼らを優先する判断を下すのは合理的とも言える。
つまり、701系のオールロングシート化は、「快適さを軽視した結果」というより、「限られた条件の中で選ばざるを得なかった解」であった可能性が高い。
ただし、それで議論が終わってよいとも思えない。
・地方路線こそ「車内空間」が問われる
地方ほど1区間の距離は長く、自家用車との競合も激しい。
移動そのものに加え、車内で勉強や仕事、飲食ができるといった付加価値がなければ、新たな利用者を呼び込むのは難しい。
欧州の地方鉄道では、クロスシートやテーブル付き座席が今も重視され、「快適な移動空間」としての価値が保たれている。
オールロングシートか、クロスシートか、という二者択一ではなく、座席のクッション性向上や簡易テーブル、仕切りの工夫など、長時間乗車を前提とした「再設計」の余地はまだあるはずだ。
701系電車は、地方鉄道が直面する現実の中で生まれた、きわめて合理的な電車だった。
その一方で、これから利用者を増やしていくためには、「合理性の先」にある快適性にも、もう一度目を向ける必要があるのではないだろうか。
おまけに標準軌だから乗り心地もいい
転換クロスシートこそ正義
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