https://newsdig.tbs.co.jp/articles/bss/2376370
2025年にBSS山陰放送が配信したニュースの中から反響が大きかった記事を振り返ります。以下は、2025年6月21日配信の記事を再構成し掲載したものです。
まるでバナナのようなウナギ、バナナウナギ。
BSS山陰放送が島根県出雲市の湖でこのウナギが釣れたというニュースを配信したところ、引き取りを希望する多くの声が全国から寄せられました。
その後、数ある希望の中からこのウナギの引き取り手として選ばれたのは、ウナギをこよなく愛する大学生。
決め手となった理由は、彼の“名字”にありました。
「目が小さくてこの目をくりくり動かす様子もかわいらしくて。手から直接エサを食べたりっていう様子もなかなかかわいらしくて…そういう所が好きです」
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ものすごい熱量でインタビューに答えてくれる男性。
ウナギ愛あふれるこの男性こそ、バナナウナギを引き取ることになった十万翔太(じゅうまん・しょうた)さん(20)、九州大学農学部の2年生です。
黄色と黒のぶち模様。
見た目はまさに「バナナ」そのものに見える「バナナウナギ」は、今年5月28日、出雲市に住む江角彰さん(75)が、市内の汽水湖・神西湖で釣りあげたものです。
江角彰さん
「これが白焼きでございます」
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毎年春から秋にかけて、自宅近くの神西湖でウナギを釣り、白焼きに加工して市内のスーパーに卸している江角さん。
記者)
「おいしいですかね?」
江角さん)
「いやもう普通だったら全部かば焼きにして焼いてしまいますけど、それだけは今回は勘弁してくれと(ウナギが)言ってるんじゃないですか。」
バナナウナギは体長80センチ、重さ350グラム、一般的なかば焼き一人前に当たるウナギの1.5倍ほどあります。
ただ、江角さん、今回ばかりは食べるのではなく、良い人がいれば譲りたいと、BSS山陰放送の番組やネットニュースで紹介したところ、全国各地から申し込みが殺到したのです。
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引用元: ・“十万匹に一匹の確率” バナナそっくりのウナギ「バナナウナギ」全国から“引き取り希望”も殺到 [582792952]
ウナギの名産地・静岡県浜松市から「ペットにしたい」との電話があったかと思えば、ある自治体観光施設からは「看板ウナギ」として飼育したいとの申し出も。また、学校から研究対象として飼育したいとの問い合わせもありました。
そして数ある引き取り希望の中から江角さんが選んだのが、先ほどの十万翔太さんでした。
では、なぜ十万さんが選ばれたのか。
ウナギを愛する心意気に加え、決め手となったのは、最初の取材で江角さん自身が口にしていた“あるひと言”でした。
江角彰さん
「“十万匹に一匹”の確率だそうです。幸運だったと思います。ラッキーだったと思います」
“十万匹に一匹の確率“で出会ったバナナウナギと、“十万”さんの名字に、不思議な縁を感じたといいます。
江角彰さん
「やっぱり、小さいころから川にウナギ取りに行って、取って来ては自分の所で観察して飼うと。それがずうっと中学、高校、大学と一貫しとったから。『あ、この子はもう全然普通の学生と違うな』と。しかも、そうするうちに、名字が『十万さん』ちゅうね」
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大学でウナギ研究をしたいと、茨城県から九州大学に進学した十万さん。
そんな彼がウナギに魅了されたのは、小学3年生の頃だといいます。
当時の担任の先生が大のウナギ好きだった影響で、十万さんは川で自らウナギを獲り、飼育もするようになり、2年前には静岡県の水族館から、まだら模様の"パンダウナギ"をもらい受けました。
そんな十万さんは、当然今回のニュースにもすぐ反応しました。
十万翔太さん
「今回ニュースでちょうど見かけて、何かご縁があるのかなと思って連絡を差し上げたら、まさか自分が受け取ることになって。とても嬉しく思っています」
6月6日、引き取り手決定の連絡を江角さんから受けた十万さんは福岡県から、十万さんの家族は茨城県からそれぞれ出雲市に駆け付け、江角さんからバナナウナギを引き取りました。
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江角彰さん
「ウナギを眺めた時に、もうこれが自分にとっては最後ですが。
私が見る機会は、向こう行かない限りは会えないじゃないですか。
だからもう、もう本当、お前はもう、うちから離れる子だけんなって言ったんですよ。
娘、息子をね、送り出す、そういう気持ちで。本当、感情が盛り上がって来ましてね。一瞬、本当、ポロっと来ました。彼がずっと大きくなるまで記録残すでしょう。してくれる思いますね」
ただ、十万さんが暮らす大学寮ではペットを飼うことができないとのこと。
バナナウナギとパンダウナギ、2匹のウナギは現在、息子の影響ですっかりウナギ好きになった十万さんの母親が、茨城県の実家で大切に飼育しているといいます。
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来年からはバナナウナギがなぜバナナ模様になったのか研究していきたいと意気込む十万さん。
ただ、少し困った問題もあるようで…
十万翔太さん
「だいたい何かを研究するってなったら、解剖とかあるじゃないですか。僕そういうのができなくて、ウナギ食べるのもだめなので…」
解剖はせず、今後バナナウナギの生態を研究していきたいということです。
そんな、ウナギを愛する十万さんの夢とは。
十万翔太さん
「大学院まで進んで、その後はウナギの研究者になるか、その経験を生かして水産庁で働こうかなというふうに考えております」
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縁結びの地・出雲で見つかった貴重なウナギがつないだ縁。
ウナギをこよなく愛する大学生が迫る、バナナウナギが生まれた謎の解明に注目が集まります。
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