https://www.yomiuri.co.jp/national/20251224-GYT1T00264/
緩和ケア病棟の中山奏琉さん。亡くなった日は病室がすし詰め状態になるほど、友人が駆けつけたという(9月30日撮影、家族提供)
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北海道の実家に飾られていた中山さんの遺品。学生時代はソフトテニスやギターに没頭した(11月25日、及川昭夫撮影)
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中山さんのXの投稿。「グエー死んだンゴ」は、3億6000万回以上閲覧された
今年10月、22歳の男性が希少がんで亡くなった。彼が闘病中や、死の直前に発信したSNSの投稿を見た人たちから、医療機関へ数千万円もの寄付が集まった。寄付文化が根付きにくいともされる日本で、ネットを通じて共感と善意の輪が広がったことは、遺族や専門家から驚きを持って受け止められている。(及川昭夫)
11月下旬、北海道東部の農村地帯の一軒家を訪れると、笑顔の遺影の周りには、友人らが供えた、たくさんの菓子や飲み物が置かれていた。
亡くなったのは北海道大学の元学生だった札幌市の中山 奏琉かなる さん。2023年10月、背中の腫瘍が国内で年間約20件しか確認されない希少がんと診断され、大がかりな手術や抗がん剤治療を受けてきた。
病状が悪化する中、「取り乱しても治るわけじゃないし来世に期待や」「思ってたよりゲームするのって体力いるんやな」などと、日々感じたことをユーモアを交えて、X(旧ツイッター)やブログで投稿してきた。
今年9月には余命1か月を宣告され、緩和ケア病棟へ。「多分そろそろ死ぬ」と投稿した2日後の10月12日に息を引き取った。
友人が代理でその死を報告する投稿をした次の日、中山さんのアカウントから、「グエー死んだンゴ」の8文字が投稿された。
引用元: ・希少がん22歳の生前予約投稿、「グエー死んだンゴ」に閲覧3億以上…医療機関に寄付相次ぐ [582792952]
「グエー……」は、追い詰められた時などにネット上で使われる俗語で、本人が生前に投稿を予約していたものとみられる。亡くなった本人による投稿は驚きを持って拡散され、12月中旬までに3億6000万回以上閲覧された。
X上では中山さんの「グエー」に対し、決まり文句として返す「成仏してクレメンス」(哀悼とユーモアを組み合わせた俗語)という返信があふれた。「香典代わりに」「中山さんの思いを研究に生かしてほしい」などと、がんの研究や治療にあたる医療機関への寄付が相次いだ。
SNSに詳しい学習院大非常勤講師の塚越健司さん(情報社会学)は「日本人はその場の空気に流されやすい面があり、不謹慎な投稿に批判が集まることもある。今回は投稿をみた人たちに良いことをしようとの空気が広がり、寄付につながったのだろう」と話す。
入院していた北海道がんセンター(札幌)へは、運営する国立病院機構を通じ、10~11月末に計1248件(計521万8000円)寄せられた。今年度の寄付はそれまで0件だったという。
公益財団法人がん研究会(東京)にも約2400件(総額1000万円以上)の寄付があり、基礎研究を支援する「大隅基礎科学創成財団」(横浜)にも11月末までに約2000件(約1100万円)寄せられたという。
日本は世界に比べ、寄付文化が根付いていないとされる。英国の慈善団体が今年発表した寄付に関する調査で、日本の年間所得に占める寄付額の割合は101か国中、最低だった。大隅財団の広報担当者は「寄付はありがたい。初めて寄付をしたという若い人が目立ち、ネットの言葉が背中を押したようだ。これを機に日本でも寄付文化が根付いていけば」と話した。
新潟青陵大教授の碓井真史さん(社会心理学)は、SNSは相手と個人的に関わっている感覚になりやすいといい、「現代の若者は『人の役にたちたい』という思いが強い。まるで友の死に直面したように感じて行動した人が多かったのではないか」と分析する。
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父親(48)は、最近、息子のXを見返しているという。スポーツ少年だった中山さんは幼い頃から弱音はあまり吐かず、「農業関係の機械を作りたい」と北海道大に進むなど、家族思いだったという。遺影を前に、「長生きしてほしかったが、Xに反応してくれた人たちのおかげで、最期に大きなことをやってのけた息子を誇らしく思える」と話した。
それの続報だからな

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