Published 2025/12/22 10:30:00
Updated 2025/12/12 12:01:51
手話を言語として使うろう者の中には、性的少数者のLGBTQが存在する。彼らはマイノリティーの中で、さらにマイノリティーとして生きている。
神戸市の山本芙由美さん(44)もろう者で、好きになる人の性別を問わないパンセクシュアル。自分の性的指向に気がついたのは高校生の頃だ。男の子を好きになった経験がなかった。
「私はおかしいのかな」。もやもやした気持ちを抱えていた。
当時、山本さんには英語や算数を教えくれていた家庭教師がいた。彼女もろう者。ある時、何気なく尋ねた。「先生って彼氏いるの?」
先生は「私は女の人が好きなんだ」。
レズビアンや同性愛という言葉を初めて知った。その時の驚きを、山本さんは手話でこう表現する。
「ふたをしてきた思いが、ぱっと解き放たれた感じ」
自分だけじゃないとの安堵感も大きかったという。
少数者の中の少数者。二重の難しさをどうすれば減らせるのか。山本さんの活動に、そのヒントがあった。(共同通信社=村越茜)
▽孤独感を抱える人の多さ
山本さんはその後、アメリカの大学に留学してろう文化やセクシュアリティについて研究した。現地は髪の毛や目、肌の色もさまざまで文化も異なる人々が共存する。だから「違うのが当たり前」。
一方、一見して違いが見えにくい日本では、「インターセクショナリティ」という概念が理解されにくい。山本さんはそう感じているという。
インターセクショナリティとは、日本語で「交差性」と訳される。ジェンダー、人種、障害の有無、社会的階級など、差別の対象となりうる属性を併せ持つ人は、それぞれの属性が相互作用することで特有の困難を抱える可能性がある。
山本さんは現在、ろう者のLGBTQを支援する団体「Deaf LGBTQ Center」の代表を務める。相談はテレビ電話やメールで受け付ける。寄せられる相談内容は幅広い。
「性別適合手術をするにはどうしたらよいか」
「カミングアウトできなくて困っている」
多くの悩みに接してきた山本さんはこう感じるという。
「当事者同士のつながりができにくく、孤独感を抱える人は多い」
▽手話に潜む「男尊女卑」
山本さんらは、ろう者の言語である手話にも課題があると指摘する。
手話は、男女をはっきり区別する。例えば名字に「さん」をつける場合、交互や書き言葉では「山本さん」となるだけで、性別をはっきりさせる必要がない。
しかし手話では、男性は親指を、女性は小指を立てて示す。性自認が男女どちらでもない「ノンバイナリー」や、トランスジェンダーの人らは、その都度苦痛を感じることになる。
この課題は放置できない。ろう者のLGBTQにとってリスクをはらむからだ。
「見る言語」と呼ばれる手話は、離れた場所からでも会話の内容が分かってしまう。同意なく性自認や性的指向を暴露する「アウティング」につながりかねない。
ほかにもジェンダーを巡って旧態依然とした面がある。「医師」と表現する場合、「脈を取る」動作に、「男」を示す親指を立てる仕草を組み合わせるのが一般的だ。「先生」の場合も「教鞭に見立てた人さし指を振り下ろす」動作に加えて親指を立てる。
理由は手話ができた時代にある。明治から大正期だ。山本さんは指摘する。
「その時代に色濃くあった男尊女卑の思想から、手話が影響を受けなかったと考える方が無理がある」
▽「ロールモデル」がいる大切さ
このため、山本さんの団体はろうと性的少数者のための「サポートブック」を作った。サポートブックには多様な性に関する言葉の手話表現が、写真付きで解説されている。
(略)
※全文はソースで。↓
https://news.jp/i/1371413854525456656
引用元: ・「先生は彼氏いる?」→「私は女の人が好き」…手話のやりとりで知ったLGBTQ ろう者が抱える「ダブルマイノリティー」の生きづらさ [少考さん★]
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