
引用元: ・【社説】官邸筋の核保有発言 被爆国の立場忘れたのか [718678614]
国是である「非核三原則」や、政府が掲げてきた「核なき世界」を、根本から否定する深刻な発言ではないか。高市早苗政権の安全保障政策を担当する官邸筋が「核兵器を保有すべきだ」との認識を報道陣に述べた問題である。 日本は被爆国として世界の核兵器廃絶を主導する立場にある。非公式取材の場での発言だったとはいえ、政権中枢に軽々しく核保有を肯定する人物がいていいのだろうか。
「ほかの誰にも同じ思いをさせてはならない」と訴えてきた被爆者の叫びを踏みにじる行為でもある。日本被団協や被爆地市民らから抗議の声が上がるのはもっともだ。首相は直ちに更迭すべきだ。
木原稔官房長官は「政策上の方針として非核三原則を堅持している」と述べた。事態の沈静化を図りたいのだろう。だが首相に安保政策を助言する官邸筋の発言は、国内外への影響が大きい。
立憲民主党が更迭を求め、公明党なども非難した。自民党の中谷元・前防衛相は「お友達内閣と言われないよう、しっかりした方を人選すべきだ」と交代の必要性に言及。岩屋毅前外相も「日本が核軍縮に役割を果たそうとしているときに水を差す」と批判した。与党からも、こうした声が上がるのは当然といえよう。
国家の理念に反するだけでなく、日本が戦後80年で築き上げてきた国際社会の信頼を失うことにもなりかねない。 中国外務省の副報道局長は「非常に深刻な事態だ」と述べた。軍縮義務を十分に果たさない核保有国にこそ大きな問題があるが、その国に「核不拡散体制を破壊する不安定要因となっている」と言われたことを恥じるべきだ。
ただ、現実的に日本の核保有は容易ではない。日本が基軸とする核拡散防止条約(NPT)体制は1970年に核兵器を保有していた米ロなど5カ国を核保有国と認め、他の国の核保有を禁じる。不公平性や不十分さが指摘されるものの、第2次大戦後の世界に核拡散を防ぐ役割を一定に果たしてきた。
核兵器を保有するには北朝鮮のようにNPTを脱退しなければならない。そうなれば国際的な信頼は失う。さらに日本が脱退するならばと追随する国が出てNPT体制は崩壊しよう。世界に核兵器が拡散し日本は逆に危険にさらされる恐れがある。官邸筋は世界の核軍縮の仕組みを熟知し後先を考えた上で発言したのだろうか。立場を自覚していないとしか言いようがない。
覇権主義を強める中国や核開発に突き進む北朝鮮など日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増す。だが最近、あまりに安易に核武装や核保有が語られていないだろうか。
首相の非核三原則の見直し検討が報じられ、小泉進次郎防衛相は原潜導入の「選択肢を排除しない」などと述べる。タカ派的な姿勢を次々打ち出す政権に対し、「核保有や軍拡を認める世論をつくる布石では」と被爆地から疑問が上がるのもうなずける。
非核を掲げてきた被爆国が、その責任と立場を忘れることがあってはならない。
よほど怖い人から強い指示が出てるんだろうね
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