2025年11月28日
WEB CARTOP
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■ディーラーよりむしろモールでクルマが売れている
埼玉県越谷市にあるイオンレイクタウン内には、「トヨタモール」としてモール内にトヨタ系4チャンネル(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツトヨタ店)が2008年より出店している。集客力の高いイオンモールへの出店なので、ほかの地域の路面店に比べるととにかく販売台数が格段に多いとのことであった。家族でイオンモールへ訪れ、お母さんや子どもが買い物をしている間にお父さんがトヨタモールで展示車を見たりして時間を潰し、あとで家族が再合流した段階で商談して新車を買っていくというケースも多いようだ。
ショッピングモールなので年末年始も休まず営業するのだが、休暇を取る店舗スタッフもいる一方で来店客も増えるので、応援部隊として他店舗のスタッフから「友軍」を募ることもあったそうだ。そういった際には、新人でも路面店のベテランセールスマン並みの台数を毎月のように売りまくるため、希望者が殺到したといった話も聞いている。
日本の新車販売現場では古くから、「移動(出張)展示」というものをディーラーで行っていた。地元の産業祭といったイベント会場に展示車数台をもち込み、販売促進活動を行うというものである。これは昭和の風物詩のようなもので、平成に入ってからはあまり見かけなくなったのだが、衝突被害軽減(自動)ブレーキが装着されはじめたころには、自動ブレーキの実演を行って周知を図ろうとショッピングモールの駐車場などで車両展示・実演をする形で復活を遂げた。
それ以降は、ショッピングモールで期間限定にて貸し出すテナントスペースなどに短期間出店する「出張店舗」を出すディーラーも出てきた。ここ最近では中国のBYDオート(比亜迪汽車)系ディーラーがイオンモールで積極的に展示会を行っているようである。新車ディーラーも働き手不足が深刻でなかなか凝ったことはできなくなっているのだが、店で待っているだけではなかなかクルマは売れないと、いろいろ動いているようだ。
■日本に限らず各国の新車ディーラーが工夫を凝らしている
アメリカでは通りの両側にさまざまなメーカーの新車ディーラーが一定区域内に集中出店している「オートモール」が有名であるし、中国でも「汽車城」としてやはり新車ディーラーが集中出店しているところがある。アメリカや中国ではひとりのオーナー(またはホールディングス会社)で複数ブランドの新車ディーラーを経営していることもあり、集中出店させやすいようだ。ここまでやると、1日かけてオートモールへ出かければ、さまざまなブランドの新車を見て試乗もできるので、足が向きやすいといえるだろう。
一時アメリカでもオンライン商談がもてはやされた時期があったのだが、契約したその日のうちに新車に乗って帰れることもあり、いまでもリアル店舗での商談が幅を利かせているとの話も聞いている。
また、中国ではBEVの普及が著しく、それもあってかショッピングモールへの出店が目立っている。モールへの出店それ自体は珍しくないのだが、多くは1階に出店しているケースが多い。しかし、たとえば5階建ての多層階構造のショッピングモールの3階や4階など上層階でも、おもちゃや衣服、携帯電話などの一般的な小売店の間にディーラーが店を構えていて、筆者は驚くとともに日本ではほとんど見かけない光景に違和感を覚えた。
ICE車では燃料タンクがあるし、エンジンオイルなども充填されており、ICE車がショッピングモールの高層階に店を構えて展示されていたら、「ちょっとなあ」といったイメージをもたれかねない。その点、BEVはICE車に比べ存在自体がクリーンな印象があるとするひとも多いので、「これもアリ」だと納得することにした。
とにかく、いまの各ブランドが単独で構える路面店では、新規の集客はかなり難しいと販売現場でも考えている様子。買い手から見れば、「1カ所で可能な限り多くのブランド車を見て商談できる」ことが理想的なのは当たり前だ。このまま少子高齢化によって新車販売市場の縮小が進めば、販売拠点の集約が目立ってくるだろうから、その時には新車や中古車、カー用品といった自動車関連の総合ショッピングモールの構築ということが有効となってくるかもしれない。
引用元: ・【レイクタウン】人が居るところにクルマを いまショッピングモールへのディーラー出店が効果絶大 [七波羅探題★]