『お~いお茶 PURE』シリーズは、お茶の伝統を引き継ぎつつグローバルで日本の茶文化を伝播させる『お~いお茶』の新シリーズ。
飲んだ瞬間にはっとする香りとまろやかな口あたりが楽しめる〝PURE GREEN〟と、レモンの爽やかな香りとお茶の甘みが楽しめる〝LEMON GREEN〟の2フレーバーを発売したところ、発売から1週間で出荷本数が1000万本を突破した。
広く海外でも親しまれるようになった緑茶だが、『お~いお茶 PURE』シリーズの開発背景には、日本以外の国では新しい飲み方やアレンジが浸透していることがあった。
「『お~いお茶』は発売から36年目になりますが、新しいお客様を開拓して商品を届けることに課題を感じていました。とくに若年層や女性にカジュアルに飲んでもらえる新しい緑茶を届けたいという想いから、新商品を開発することにしました」
このように話すのは、マーケティング本部緑茶ブランドグループ ブランドマネジャーの吉田達也氏。若年層獲得を目的として直近では、2023年5月に『お~いお茶 ◯やか(まろやか)』シリーズを発売しているが、『お~いお茶 PURE』シリーズの開発に当たっては海外で親しまれているフレーバーをプラスしたアレンジにも着目した。外国人は緑茶の苦み、渋みを苦手に感じる人が多く、日本でも若い世代では同様の傾向があるからであった。吉田氏は次のように話す。
「中国や北米がそうなのですが、海外は緑茶に別のフレーバーをプラスして楽しむ飲み方が一般的です。ブームになっている抹茶の使い方も、海外ではフルーツをつけたり別のフレーバーをプラスしたりと、日本人では思いつかないようなアレンジが盛んです」
『お~いお茶 PURE』シリーズの売れ行きは同社の予想以上で、現時点で計画の2倍以上売れている。吉田氏によれば、過去数年間に発売された同社の商品の中でここまで動きのいいものはないという。
狙い通り若年層が多く購入しているが、特徴は男性よりも女性の購入が多いこと。一般的な緑茶飲料の購入比率は7:3で男性の方が多いが、『お~いお茶PURE』シリーズ購入者の男女比は7:3で女性の方が多い。
アイテム別の売れ行きを見ると、〝PURE GREEN〟の方が売れている。〝LEMON GREEN〟の売れ行きは、日本ではフレーバー緑茶が定着していないことの影響も受けているが、「味の面では〝LEMON GREEN〟はお客様から高い評価を得ています。『すっきりゴクゴク飲める』といった声が多いです」と吉田氏。今後配荷が進み販売店舗が拡大していけばもっと伸びていくと同社は見ている。
商品のプロモーションは発売開始直後から、『お~いお茶』のグローバルアンバサダー契約を結んでいるロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手をフル活用。
テレビCMをメインに、東京ドームで開催された2025年シーズンのドジャースの開幕戦に合わせ3月14日から19日の間、東京ドームシティ内にある広告メディア全9か所に大谷選手を起用したCMやキービジュアルを掲出するなどした。
キャッチコピーは「お茶の常識、すてましょう。」テレビCMで話題になった大谷選手がサッカーのリフティングを見せるシーンも、常識を捨てることを表現したものだが、お茶の伊藤園が「お茶の常識、すてましょう。」と言うことに関しては社内で揉めに揉めたところだった。吉田氏はこう振り返る。
「伊藤園がこういう言い方をすることに疑問を呈する声はありました。ただ、われわれとしてはとにかく、伝統的な日本茶の良さを大切にしつつも、新しいお茶の価値を提供したかったので、何としてもこのキャッチコピーでやらせてほしいという想いがありました。いままでの商品では届かなかったお客様に届けるのが『お~いお茶 PURE』シリーズの使命でしたので、何とか社内を説得してキャッチコピーを使うことができました」
今後は新フレーバーを季節限定品などの形で適宜発売していきたい考え。9月にシリーズ初のほうじ茶〝YUZU HOJI〟を期間限定で発売した。
「すっきり」は「薄い」と紙一重だが、「薄い」という反応はほぼ聞かれないという。苦み、渋みを抑えつつも緑茶らしい味わいはしっかり感じ取ってもらえているようだ。
それになに無糖緑茶って、伊藤園の社員は砂糖入れてのんでいるの?
あと、茶渋で歯が汚くなるからやめておいた方がいいよ