物価高が進む中、大手企業を中心に、最低賃金より高い「生活賃金」に関する情報を開示する例が目立ち始めた。衣食住や教育などの基本的ニーズを満たした暮らしを送るのに必要とされる賃金水準で、人権に関する取り組みの一環として投資家らにアピールするとともに、企業の採用力強化につなげる狙いもある。(砂本紅年)
◆「生活賃金」への言及 2019年に日本で登場
「生活賃金は国際的な人権ルールでも言及されており、従業員の安心を担保する上でも重要」と説明するのは森永製菓の担当者。2025年3月期の有価証券報告書で、人権尊重に向けた取り組みとして、差別やハラスメントの排除などに加え、生活賃金を満たす賃金の実現に努めることを明示した。
大和総研の中澪(れい)氏によると、日本では丸紅やNTTドコモグループが2019年、企業価値向上の戦略をまとめた「統合報告書」などで生活賃金について言及したのを先行事例とし、環境・社会・企業統治(ESG)を考慮した投資の普及を背景に、有価証券報告書などに言及する例が散見され始めた。人権に関する取り組みの一環として情報開示する例が多いという。
生活賃金の概念は欧米から広まった。各国とも法定の最低賃金では人として尊厳のある暮らしを送ることが難しく、ここ数年の物価高騰で貧困や格差が深刻化する中で重要視されるようになった。日本でも、最低賃金は本年度の引き上げが全国で実施された場合でも、フルタイムで平均年収が230万円程度とされ、十分な生活保障が果たせるとは言い難い水準だ。
◆連合が「生活賃金」を独自に算出 時給にすると…
連合は生活賃金(リビングウェイジ)を「労働者が健康で文化的な生活ができ、労働力を再生産し社会的体裁を保持するために最低限必要な賃金水準」と定義し…(以下有料版で,残り 383文字)
東京新聞 2025年10月13日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/442177
引用元: ・「生活賃金」アピール企業増加中 最賃では人権にもとる…人材確保、投資呼び込み狙い [蚤の市★]