兵庫県丹波篠山市今田町でこのほど、70歳代の女性が、自宅の庭先に現れた子連れの雌のニホンジカに襲われ、ろっ骨にひびが入るなどのけがを負った。
以前からシカがコメを食害していたため、追い払おうと接近したために起こった事故。
草食性でおとなしいイメージのシカだが、県森林動物研究センターによると、女性への攻撃は、シカ同士の餌場争いの行動に似ているという。
「この餌(コメ)は自分のものだ、と主張したいがために取った行為だった可能性がある」と推測。
さらに、シカは現在、繁殖期。気が立ち、子を守るため警戒心も高まっていて危険という。不用意に近づいて、不測の事態にならないよう注意が必要だ。
事案が発生したのは9月26日午後1時半ごろ。現場は山裾の一軒家の庭先で、目の前には収穫を控えた田んぼが広がっている。この辺りでは4年前からシカの群れがひんぱんに出没するようになった。
人を恐れず、日中、目の前で悠々と草を食べる姿が日常的に見られるほか、人家の軒先で授乳する様子も確認されている。
今夏は5頭からなるシカの群れが目撃されている。この秋、コメをひどく食害しているため、女性は庭先に現れた親子2頭のシカを追い払おうと近づいた。「いつもなら、あっさりと逃げていくのですが」。しかし、この日は違った―。
4㍍ほど近づいたところで子ジカは逃げたが、母ジカは身じろぎせず、にらみつけてきた。身の危険を感じた女性は逃げようと、体を反転させ、駆け出したその瞬間、母ジカから左脇腹に頭突きをくらわされたという。
女性はその弾みで、高さ1㍍ほどの土手から転げ落ちた。四つん這いになって逃げたが、母ジカがなおも迫ってきたため、とっさに地面にうずくまり、両手で後頭部付近を覆って体を守る姿勢を取った。
母ジカはその上から何度も激しく踏みつけてきたという。女性の悲鳴を聞いた夫が家の中から飛び出し、「こらー」と大声を上げると逃げ去った。
夫は運転免許証を返納していたため、女性は自力で車を運転して市内の病院へ。検査の結果、体の左側を中心に、頭部から太ももにかけて複数の打撲と、左側のろっ骨にひびが入っていたことが分かった。
女性は「殺されるかと思った。まさか雌ジカが襲ってくるなんて」と振り返り、
「食害に憤りを感じているが、それでもこれまではかわいいなあと思える一面もあった。でもいまはもう、ただただ怖い。この先、どうやって田畑から追い払ったらよいのやら」と表情を曇らせた。
同センターは、「今田町は現在、シカの生息が拡大している先端地域。農業被害も増えている。昼間から人家周辺で見られるとなれば、相当シカになめられている状態。
『ここに来ても何も食べられない』と認識させることが重要で、爆竹やロケット花火などで追い払い、合わせて電気柵や金網といった防護柵を設置していくことが対策の要になる」と話している。
県によると、県内におけるシカの推定生息数は2023年度時点で約15万1000頭。それに対する同年度の捕獲数は4万3029頭(丹波篠山市1421頭、丹波市2564頭)。
https://news.yahoo.co.jp/articles/175a863800f372e1d6655f0b473dbf2fbaf1e05e
引用元: ・シカに襲われ女性負傷 繁殖期で注意必要 [567637504]
のこのこ