◆既存の多孔性材料ゼオライトは「穴の大きさ」が限られ
多孔性材料の歴史は古く、3500年以上前の古代エジプトまでさかのぼる。その一つ、炭は傷の腐敗臭などを除く際に使われていたという。もうひとつ有名なのがゼオライト(沸石)。もともと天然の鉱物で、ケイ素とアルミニウムと酸素が網の目のようにつながった構造だ。人工的に作ることもでき、脱臭剤や乾燥剤などとして用いられる。
沸石でも穴の大きさを変える試みは行われてきたが、ケイ素、アルミニウムという無機物で作る基本の骨格は変えられず、限界があった。
◆壊れにくい構造体をつくるのに成功、研究者が続々参入
北川氏が開発したMOFは、金属が「接ぎ目」、有機分子が「骨格」となる。金属イオンと有機分子の組み合わせを変えれば、穴の大きさや形を自由自在に調節でき、これまでに「何万種類もの異なるMOFが開発されている」(化学賞選考機関のスウェーデン王立科学アカデミー)。表面積が大きいことも特長で、わずか数グラムのMOFの表面積は、サッカー場1面の広さに相当するという。表面積が大きいほど大量の分子の吸着や反応が起こりやすくなる。
北川氏は1990年ごろから、金属を中心に有機分子などが並んで大きな分子を作る「金属錯体」を用いて多孔性材料を作る研究を本格的に始めた。しかし当初は、有機物を骨格にした構造は柔らかく、穴にはまった物質を抜くと壊れてしまう状況が続いた。
穴の中の物質を抜いても壊れない頑丈なMOFの合成に成功したのは1995年。金属のコバルトと有機分子からなる物質だった。ぎざぎざがついた板がかみ合うように組み合わさって層状になった構造で、そのすき間が穴に…(以下有料版で,残り 919/1838 文字)
東京新聞 2025年10月9日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/441312
引用元: ・「MOF」の何がすごい? ノーベル化学賞北川進京大教授が開発 [蚤の市★]
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