韓国政府は3500億ドルの大半を融資・保証で提供すると提示したが、米国は聞く耳を持たない。現金で払わなければならない持分投資のかたちに固執している。ニューヨークの不動産市場やウォール街に精通しているトランプ氏と彼の分身(財務長官と商務長官)らが、韓国のような国からこのような規模の資金が短期間で流出したら為替市場が大混乱に陥るという点を知らないはずがない。それなのに意固地になるのは、米国は一銭たりとも損をすまじという下心があるからだ。持分投資は結局は投資家の責任だから、事業が失敗した際の損失はほとんどを韓国が抱え込まなければならない。その上、投資決定権もトランプ氏が持ち、利益配分は米国が9割・韓国が1割だという。「利益は米国のもの、損失は韓国のもの」という算法は強盗のようなものだ。
トランプ氏は、米国が80年間維持してきた国際貿易体制を一瞬にして崩した。関税を相手国への圧迫の武器として使った第2次世界大戦以前の時代への回帰だ。だからといって、もっともらしい代案を提示するわけでもない。従来の体制に代わるのは「トランプの気の赴くまま」だ。「トランプ皇帝」の気まぐれによって関税が変わるため、全世界は混沌に陥るばかりだ。敵と同盟国の区分もない。むしろ敵よりも同盟国に対してもっと過酷だ。トランプ氏は、中国がレアアースの輸出統制で対抗すると一歩下がって、中国に対しては二度も関税猶予措置を取った。一方、韓国のように甘く見られている国からより多くのものを強奪しようとする。
トランプ氏が掲げる貿易赤字の縮小と製造業の雇用創出という目標は、力ずくと強圧では決して実現できず、むしろ逆効果を生むのが明らかだ。トランプ氏は関税を万能鍵のように考えているが、まったくそうではない。貿易赤字は基本的に米国人が生産よりも多く消費するときに発生する。米政府の支出削減と米国人の過剰消費を見直し、米国製品の競争力を高めてこそ、貿易赤字を減らすことができる。関税賦課で製造業を復興させ、雇用を増やすことができるという公約も嘘に近い。例えば、第1次トランプ政権期に鉄鋼への関税適用で鉄鋼産業の雇用は1千件増えたが、鉄鋼を原材料として使う自動車・機械などの関連産業では7万5千件も減った。急に生産費の負担が大きくなり、競争力が落ちたためだ。製造業の雇用問題は、低価格の輸入品のせいよりはオートメーション化と産業構造の転換の影響のほうがはるかに大きい。
(略)
国家経済と安全保障に緊要な産業の復興は、指導者なら当然追求すべき事案だ。ただ、その目標を達成するためには無分別な保護関税ではなく、インフラ投資、技術開発、人材育成、産業環境造成などの戦略的な産業政策を、中長期的な計画を持って推進しなければならない。また、中国との競争で勝つためには、欧州や韓国、日本、一部の資源大国と協力しあって対応するのが賢明だ。ジョー・バイデン前大統領が推進したのがまさにこの戦略だったが、トランプ氏はこのすべてを解体してしまった。覇権競争の真っ只中で繰り広げられるトランプ氏の行動は、同盟国の離脱を招き、中国に有利な局面を作るだろう。トランプ氏の政策は矛盾のかたまりであり、1~2年、遅くとも3年以内に破裂音を発する可能性が非常に高い。
いくら米国といえど、国際貿易と経済学の基本法則から自由になることはできないからだ。米国は試行錯誤を経て、再びバイデン戦略に戻るしかないだろう。投資金の元金補てんも計れないこのような状況で、天文学的な額の国民の税金をトランプ氏に渡すことはできない。韓国としては持ちこたえられる水準の投資はしつつ、それを超える要求は受け入れず、中長期戦に備えなければならない。
解放直後の激動期に「米国人を信じず、ソ連人にだまされるな。日本人が立ち上がり、中国人がまた出てくる。 朝鮮は気をつけろ」という民謡が流行した。旧韓末と日帝強占期(日本による植民地時代)、そして解放政局を経て積み重なった大国に対する不信が色濃くにじみ出ている。80年前の民衆の警戒心は、現在の状況に当てはめても大きな違いはない。弱小国の運命など気にしなかった大国の略奪的属性は変わらなかった。ただ、今の大韓民国は「ミドルパワー」(中堅国)として切り札を出せるだけの力量があるのだから、韓国の立場を強く開陳して貫かなければならない。
ハンギョレ 2025-10-03 11:16 修正:2025-10-06 06:03
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/54388.html
引用元: ・【ハンギョレ】韓国は信じるな、だまされるな [10/6] [ばーど★]
一番トランプが言いたい事だな
じゃないのか
騙されるな
昔から言われてる真理よな