
参院選や自民党総裁選を通じて外国人への規制が声高に叫ばれ、在日外国人の子どもたちも不安にさらされ悩みを抱える。
中でも、トルコの少数民族クルド人へのヘイトスピーチ(憎悪表現)は激しさを増す。彼らの多くが住む埼玉県川口市の日本語教室で、クルド人講師や子どもたちの声に耳を傾けた。(池尾伸一)
「夢を砕かれる子どもが増えた」
東京都と埼玉県の約10カ所で教室を運営する認定NPO法人「メタノイア」。このうち、昨年秋にできた川口市の拠点には、クルド人の子どもたちが多く通う。
※メタノイアは経済的に困窮する家庭には無料で授業を提供するなどしており、運営資金の多くを寄付金に依存している。山田拓路代表は「外国人と共生する社会をつくるため協力してほしい」とホームページを通じた寄付を呼び掛けている。
「さあ、この漢字はどう読むのでしょう」。クルド人で講師を務める大学生アランさんが問いかけると、子どもたちが元気に答えていた。
小6の女子児童は笑顔で話す。「この教室は安心して勉強できる。毎日来たいぐらい」
しかし、開設から1年がたち、子どもたちを取り巻く環境は変わった。アランさんは言う。「突然、夢を砕かれる、そんな子どもたちが増えてきた」
◆「人生が180度変わった」
教室に通う中学3年の少年は、サッカー選手を目指して強豪校を受験しようと、熱心に勉強をしていた。「推薦で来てほしい」と声をかけてくれる学校もあった。
だが、父親が8月に突然、強制送還された。背後には、出入国在留管理庁が5月に公表した「不法滞在者ゼロプラン」に基づく送還強化の方針がちらつく。
家族ばらばらで生活することは難しく、中学を卒業したら、母と中学2年の妹とともにトルコに帰国する予定だという。
2歳で来日した少年は、ほとんどトルコ語を話せない。クルド人はトルコで差別的な扱いを受けるため、サッカー選手になる夢も険しい。
少年の表情は、もちろん晴れない。「人生が180度変わってしまった」
それでも、教室ではトルコでの通訳などの仕事に生きるかもしれないと、日本語検定の勉強を教えている。
◆ヘイトに直面し「もう暮らせない」
周囲では、自民党や参政党が外国人規制を主張した7月の参院選の前後から、ヘイトスピーチやヘイトクライム(憎悪犯罪)が激しさを増している。川口市のクルド人団体には「にする」「日本のゴミ」といった脅迫や侮辱のメールや電話が相…
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引用元: ・日本語を学ぶクルド人の子どもに迫るヘイト、いじめ…夢をあきらめ帰国選ぶ家族も 川口の教室で苦悩を聞いた [少考さん★]
毎日
東京新聞