「酷い顔」
判決は1月28日付で、水野有子裁判長は「解析は、投稿で権利を侵害された人への対応として通信事業者の正当な業務にあたる」と述べた。判決は既に確定し、女性の代理人によると、開示された電話番号を基に投稿者を特定するなどし、一部と和解が成立。残りの投稿者に対しては、今後、損害賠償を請求する方針だという。
問題となったのは、2022年6~7月、LINEヤフー(旧LINE)がインターネット上で管理・運営する「オープンチャット(OC)」に投稿された5件のメッセージ。いずれも「 酷ひど い顔」などと女性の容姿などを侮辱する内容だった。
一般的なSNSでは、投稿者のアカウントに電話番号などが登録されている場合が多い。悪質投稿の被害者の訴えを受けた裁判所が投稿による権利侵害を認めれば、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダー責任制限法)に基づき、通信事業者に対し、アカウントに登録された個人情報の開示を命じることができる。
だが、匿名性を前提とするOCのアカウントには、投稿者を特定する情報が登録されていなかった。このため女性側は、OCアカウントと「ひも付け」されているLINEアカウントに着目。こちらには利用者の電話番号が登録されているため、23年5月、投稿者情報の開示を求める訴訟を東京地裁に起こした。
憲法で保障
訴訟で争点となったのが、憲法が保障する「通信の秘密」だ。
通信の秘密は、通信の内容や宛先などを第三者に知られない権利を指す。国の個人情報保護委員会と総務省は、電気通信事業者向けの個人情報保護に関する指針を巡り、利用日時や発信先といった通信履歴を解析することは、こうした権利を侵害すると指摘。「正当業務行為に該当する場合などを除き、認められない」との見解を示している。
これを踏まえ、LINEヤフー側は「OCとLINEのアカウントは関連していない。投稿者を探知するには、OCとLINE間の通信履歴を解析する必要があるが、法的に許されていない」などと主張。地裁は昨年3月、女性の請求を棄却した。
これに対し、女性側の控訴を受けた高裁は、正当な業務にあたる場合には解析が認められることを重視した。「投稿は限度を超えた侮辱行為で、女性の名誉を侵害する」と判断し、通信事業者としての正当な業務として、通信履歴の解析を認めた。その上で、地裁判決を取り消してLINEヤフーに投稿者の電話番号を開示するよう命じた。
バランス難しく(略)
読売新聞 2025/09/19 06:30
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250919-OYT1T50016/
引用元: ・匿名SNSで「酷い顔」など侮辱投稿、通信履歴の「解析」認める異例判決…一部と和解成立 [蚤の市★]