千葉県の自営業の男性(55)は、5年前に調査員を務めた国勢調査で浴びせられた言葉を苦々しく振り返った後に語った。
「頼まれても次はやりたくないよ。メンタル擦り減るから」
国勢調査は今年、再び調査年を迎え、20日から調査票の配布が始まる。
だが、「国の最も重要な統計」と称される国勢調査も、近年は調査票を提出しない人が増えており、1世紀以上の歴史のなかで岐路を迎えている。
対象はすべての日本在住者
日本の「いま」を浮かび上がらせる国勢調査は、外国人を含め日本に住む全ての人を対象にした日本唯一の「全数調査」で、全世帯に調査書類が配布される。
(略)調査員は報酬付きで従事し、調査漏れを防ぐため、戸別訪問して原則対面で調査票を渡す。
調査票は性別、年齢、配偶関係、仕事の種類や就労状態、5年前の居住地、国籍などを尋ねる項目がある。
回答は、紙の調査票を郵送または調査員へ後日提出する方法のほか、調査員が配布する書類に記載のQRコードやログインIDを使ってインターネットでも回答できる。
住民基本台帳があるのになぜ?
戸別訪問があるため、前回は約61万人もの調査員を要した。
この大がかりな調査の意義は何なのか?
わかりやすいのが、各地の居住実態の把握だ。
各市区町村の住民票を基にした住民基本台帳(住基)上の人口と、実際にその土地に居住する人口には開きがある。
例えば、京都市では2020年10月の住基上の人口が約140万人だった一方、同年の国勢調査では約146万人と、6万人も開きがあった。
大学が多い京都市では、地方の実家に住民票を置いたまま下宿する学生らが多数いるためで、住基ネットのデータだけでは実態をつかめない。
国勢調査で得られた数字は、国や地域の姿を捉える重要な「基礎資料」になる。
地方交付税の算定や衆院選小選挙区の区割り、そのほか公的統計の基になるほか、自治体が少子高齢化や街づくりの計画を策定したり、民間企業が店舗や工場の立地計画を立てたりする際にも活用される。
24年に民間研究機関が公表し話題となった「消滅可能性自治体」も、国勢調査が基となっている。
東京は未回収3割
だが、この調査の在り方が揺らぎ始めているという。
調査票を回収できない世帯が急増したためだ。
調査対象者から直接回答が得られない場合、調査員が近隣住民から聞き取ったり、自治体が持つ行政情報で補足したりして、データを補わなくてはいけない。
(略)「聞き取り」で補うのは、世帯数や性別などに限られるため、国籍や就業状況、学歴などデータの一部が抜ける「不詳」が続出する。(略)
擦り減るメンタル(略)
「手法に限界」の声も
(略)総務省は、前回37・9%だったインターネットでの回答割合を50%に引き上げる目標値を掲げる。
(略)さらに新たな試みも始まる。
東京都新宿区と茨城県3市(水戸、つくば、ひたちなか)では、オートロックの大規模マンションなどに住む約2000世帯を対象に、調査員が直接訪問せずに調査票を郵送で配布する「郵送配布方式」を試行する。
総務省国勢統計課は「郵送配布による精度や、自治体側の負担軽減の程度を検証したい」としている。【尾崎修二】
毎日新聞 2025/9/19 06:30(最終更新 9/19 06:30)
https://mainichi.jp/articles/20250917/k00/00m/040/094000c
引用元: ・【国勢調査】回収率減、擦り減る調査員のメンタル 岐路に [蚤の市★]
警備会社とか警察にやらせないとダメ