第一に、日韓安保協力を梃子とした日米韓協力体制の構築だ。今回両国は日米韓の安保協力推進で合意。これは「アメリカ・ファースト」下の米国の韓国保護を懸念しつつ、地政学的な安全保障の補完役として日本に期待する新政権の姿勢を反映している。李氏の8月25日の訪米は、米国が長年促進してきた日韓接近の流れをくみ、米韓首脳会談の準備という性質も帯びている。
第二に、拡大する韓日経済協力による対米依存の軽減だ。米国による関税圧力や投資規制を背景に、対日協力の拡大は韓国経済界の要請に応えるものだ。対日貿易シェアの拡大で減少が見込まれる対米貿易分を補填し、米韓交渉での不利な立場を修正できる。さらに水素エネルギーやAI分野など先端技術での協力は、日本主導のCPTPPへの加盟促進にも寄与すると見られている。
第三に、都市・地方ガバナンス協力による共通課題の解決だ。人口減少や首都一極集中といった共有課題への対処を目的とする協議体の設置合意は、両国の地域政策に新たな解決策をもたらす可能性を秘めている。
しかし、両国の経済、安保分野の合意には懸念もある。経済面では、第3国を排除しない限り日韓協力は全体として有益であろう。世界的に重要なエコノミーである両国の、先端分野における協力による相乗効果は、中日韓FTA交渉再開の契機となり得る。特に技術開発で優位性を持つ両国によるAI、デジタル経済、水素技術への注力は、世界の科学技術進歩にも寄与するだろう。
しかし安保協力の行方は楽観を許さない。韓日の警戒対象が東北アジアに集中することで地域の緊張を招きやすく、日韓接近下で強化される日米韓安保協力が新たな軍拡競争を誘発する懸念があるからだ。
(文=笪志剛 黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員、中国東北振興研究院専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年8月26日
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2025-08/26/content_118043249.htm
引用元: ・【中国メディア】韓国の日本接近にある現実的思惑 [8/27] [ばーど★]
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