最高人民法院(最高裁)が企業と従業員が社会保険料の支払いを回避することを違法とすると判決し、雇用や中小企業の存続を巡る懸念が高まっているからだ。
アナリストやある政府顧問によると、この判決は高齢化が進む地域で枯渇しつつある年金基金を補充し、より手厚い福祉制度の基盤を築くことを目的としており、
中国が債務依存型のインフラ・産業投資から消費者需要主導型の成長モデルに移行する流れを促すだろうという。
最高人民法院は今月、社会保険料の徴収が常に義務付けられていたとしつつ取り締まりが不十分だったと認めた。
労働者が工場、建設業、宅配業、飲食店やその他の中小企業と非公式に合意し、現金を手元に残すために社会保険料を支払わないことが多い。
一部の工場は今年になって米関税引き上げで打撃を受けたため、社会保険、失業保険、医療保険やその他の保険料を支払わなくて済むように、正社員を解雇し日雇い労働者として雇用し直した。
アナリストらによると、今回の判決は9月1日に施行され、中国政府が世界第2位の経済大国である自国のセーフティーネットを強化するという長年の公約実現に近づく一方で、企業や労働者の可処分所得が減れば経済成長に差し迫ったリスクをもたらすため、政府のより広範な改革意欲に対して困難な厳しい試練を引き起こすという。
中国新供給サイド経済学会を設立した賈康会長はロイターに、今回の判決が「多くの零細企業にとって死活問題」になり得るだろうと語った。
ソシエテ・ジェネラルは、判決結果が施行されれば企業と消費者が負担するコストが国内総生産(GDP)の約1%に相当すると試算している。
調査会社トリビウムのアナリスト、ジョー・ペイセル氏は「中国は改革のコストを誰が負担するのかという核心的な問いに直面している」と述べた。
ペイセル氏によると、現状では労働者と企業が改革のコストを負担しており、こうした状況は雇用と消費を損ない持続可能ではないかもしれないという。
「改革が長期的に成功するかどうかは、政府がどれだけコストを負担する意思があるかどうかにかかっている」と語った。
ロイターは中国人事社会保障部と国務院新聞弁公室にコメントを求めてたが、現時点で回答を得られていない。
<切迫した影響>
社会保険料の負担率は都市によって異なるが、一般的に従業員は総収入の約10%、雇用主側は約25%に相当する。エコノミストらによると、これは世界的にみて高水準で支払いを非公式に回避する動きを促進しているという。
中国全国人民代表大会の2024年報告書によれば、複雑な給与体系も社会保険料の支払額の逆進性を高めており、所得の低い労働者が所得の高い労働者以上に負担が重く社会保険料の支払い意欲を損なう一因となっている。
人材サービス会社の中和集団が6000社以上を対象に昨年実施した企業調査で、社会保険の規則を完全に順守している企業はわずか28.4%だった。
公式データによると、中国の都市年金制度に加入している労働者は3億8700万人で労働人口の約半数に相当する。
交流サイト(SNS)の利用者たちもまた、自分たちが納めた保険料がどのように運用されているかについて信頼できないと述べている。24年の国務院報告書によると、13省が年金基金から406億元を他の支出に流用していた。
米国に拠点を置く検閲監視サイト「チャイナ・デジタル・タイムズ」の創設者である蕭強氏によれば、この話題に関する投稿が一部削除されており、特に判決が最も弱い立場の人々に偏って悪影響を及ぼしているという意見が対象になっているという。
社会保険料の負担回避は中国国内外の経済バランスのゆがみを助長してきた。
回避によって工場の労働コストが下がり中国の輸出競争力が高まる。公共インフラ事業のコストを下げ、さらに製造業の物流コストを削減しサプライチェーンを密接に結び付けた。
しかし、中国の高齢化が進む状況で未払いの保険料は年金制度にリスクをもたらす。年金基金は35年までに枯渇すると予測されているのだ。
https://jp.reuters.com/world/us/UTMWIODNONMJRN3PMSU2LXOR5E-2025-08-23/
https://www.reuters.com/graphics/CHINA-ECONOMY/EMPLOYMENT/egvbqqmnjpq/chart.png
引用元: ・【最高人民法院(最高裁)】中国、社会保険料の回避が違法に 雇用と中小企業を直撃・・・中国の社会保険料の負担率、従業員は総収入の約10%、雇用主側は約25%
違うのは、使い途など考えず税金を巻き上げることだけに血まなこになる財務省
あいつら、完全なサイコパス。
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