この報告書をもとに問題の経過をおさらいしておく。今年1月20日、A君ともう一人の1年生部員B君が寮の部屋で禁止されているカップラーメンを口にしたことから始まる。その様子を先輩が見つけ、ふたりを口頭で注意する。
翌21日、A君は複数の先輩部員から殴る・蹴るの暴行を受け、22日には先輩部員から呼び出しを受け、「本当に反省しているのか? 反省しているなら便器なめろ。○△(部員名)のチンコなめろ」と命令されるなどしている(A君は「靴箱舐めます」と拒否)。そして9人の部員が居合わせるなか、そのうち6人の先輩部員から集団暴行を受けた。1月23日未明、A君は寮を脱走。母親にSOSの連絡を入れた。その後、中井部長らと幾度かのやりとりを繰り返し、集団暴行の事実確認が始まった。
加害生徒ら食事の時間をずらすなどできる限り接触しないように配慮した上で、「戻ってきて欲しい」と中井部長が提案し、A君は母親と共に一度は寮に戻っているが、問題はその後に関する記述だ。
上記の暴行事案の報告書とは別に、両親の側がA君に聞いた話をもとに学校側の対応不備について質問を投げかけ、学校側が回答した報告書がある。そこにはA君が寮に戻った1月26日以降に中井監督と面談した記述がある。コーチ3人も見守る中でのやり取りについて、両親の側は次のように記している。
監督「高野連に報告した方がいいと思うか?」
A君「はい」
監督「2年生の対外試合なくなってもいいんか?」
A君「ダメだと思います」
監督「じゃあどうするんじゃ」
A君「出さない方がいいと思います」
監督「他人事みたいに…じゃあなんて言うんじゃ。出されては困りますやろ」
このやり取りについて、学校側は事実関係を否定していない。学校側は報告書上で、この会話の前に「よく帰ってきたことを認め、これから一緒に頑張っていこう」「上級生が一番悪い 事の重大さについては、部員全員にも伝えている」といったことをA君に話したと説明。
引用元: ・広陵高校、やっぱり隠蔽していたか 被害者の父親が激白
そうしたなかでA君は自主退学を決断した。両親にもうこれ以上、野球部にいることが難しく、「誰も信じられない」と告白。A君は「コーチ3人は、誰も中井監督を止めてくれなかった。コーチが監督を怖がって、顔色を窺って誰も守ってくれない」と話していたという。
また、A君の両親が7月11日に広島県高野連に連絡したところ、学校側から示された上述の報告書と、学校が県高野連に提出した報告書では加害者の人数など含め、内容が異なっていることもわかったという。堀校長は10日の会見になって、両親に示したのは「途中経過の報告」であるため、最終的な報告と内容が異なると釈明した。その点の事実関係も解明されるべきだが、そうした対応により不信が募ったことは確かだろう。
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