米トランプ大統領(79)が就任以来「最大のピンチ」を迎えている。全米を揺るがせた大規模性的人身売買事件の“顧客リスト”に現職大統領の名前がある――。そんな疑惑が政権を直撃し、岩盤支持層の離反を招いているのだ。
「先日、電撃合意に達した日米関税交渉は日本ではビッグニュース扱いですが、実はアメリカではほとんど報じられていません。米メディアが連日、トップニュースで報じるのは“エプスタイン事件”に絡むトランプ氏の疑惑です」
こう話すのは、アメリカ政治・外交が専門の同志社大学大学院教授の三牧聖子氏だ。
エプスタイン事件とは、数十人に上る少女への性的搾取や性的人身売買あっせんの罪で起訴され、勾留中の2019年に自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン(66)=死亡時=のスキャンダルを指す。
国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。
「昨年の大統領選でトランプ氏は“エプスタイン事件を捜査する”“全ての捜査資料を公表するだろう”と発言してきました。ところが7月に入って政権は一転、事件資料の非公開を決定した。資料の中には少女による性的人身売買の顧客リストが含まれると指摘されていて、“大統領の名前がリストにあるから公開できないのでは?”との臆測が広がっています」
疑惑が浮上して以降、トランプ氏は日米関税交渉の成果をアピールしたり、公民権運動を率いたマーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺事件に関する機密文書を遺族の反対を押し切って公開もした。
さらにバラク・オバマ元大統領を国家反逆罪で告発するなど、国民の関心を他にそらそうと躍起の様子だという。
「しかし支持率は第2次政権下で最低となる37%まで下落しています。その理由として、今回の疑惑を機にMAGA(米国を再び偉大に)と呼ばれる岩盤支持層内で“トランプ離れ”が起きていることが挙げられます。MAGAの中には陰謀論を信じるQアノン信奉者が多くいますが、彼らはもともとエプスタイン事件に強い興味を示していました」(前出の三牧氏)
アメリカ政府は「ディープステート(闇の政府)によって裏で操られている。その中心には児童による性的人身売買ネットワークを持つ民主党エリートらが含まれる」との荒唐無稽な世界観を信じているとされるQアノン派だが、
「彼らにとって、ビル・クリントン元大統領とも交友があったエプスタインの事件は、ディープステートの腐敗を象徴するスキャンダルとして認識されています。つまり彼の顧客リストに名前が載っているということは“トランプも闇の政府の一員だった”ということを意味しかねない。一部のMAGAにとっては信じがたい裏切り行為と映っているのです」(同)
支持者の疑念をさらに深めたのが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによる報道だった。
「同紙は7月17日、大統領がエプスタインの50歳の誕生日に贈った手紙の内容を報じました。そこには、何も着ていない女性の下腹部に“ドナルド”の署名が入ったイラストが描かれ、〈毎日が素晴らしい秘密でありますように〉とのメッセージが添えられていたといいます」(全国紙外信部デスク)
この報道に対し、トランプ氏は虚偽の記事で名誉を傷つけられたとして100億ドル(約1兆5000億円)の損害賠償を求めて提訴したが、
「最新の世論調査で、米国民の約7割が“政権は情報を隠蔽(いんぺい)している”と回答しています。トランプ氏はエプスタインとの関係を否定していますが、一緒に写った写真が出回るなど、交流自体はあったと考える米国民は多い。また政権発足直後の今年2月、パム・ボンディ司法長官がFOXニュースのインタビューに“(顧客リストは)私の机の上にある”と述べるなど、“大統領の言葉は信用できない”といった声が支持者からも上がり始めています」(前出の山田氏)
一方のトランプ氏は「もはや彼ら(MAGA)の支持は望んでいない」とSNSに書き込み、強気の姿勢を崩していない。
そんな中、第1次政権で首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏(71)が、「(疑惑の影響で)MAGAの10%を失う」と発言。さらに来年の中間選挙で、共和党は「下院で40議席を失うだろう」と警告し、波紋を呼んでいる。
「共和党支持者のうち、MAGAを自称している人は約5割とされ、無党派層に限れば支持率はすでに3割を切っています。このまま疑惑の払拭がかなわなければ、今後も支持率は下がり続け、トランプ氏がいよいよ窮地に陥る可能性も指摘されています」(三牧氏)
※以下引用文で
「週刊新潮」2025年8月7日号 掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2025/08060540/
引用元: ・「少女人身売買の顧客リスト」に大統領の名前が!? いまアメリカで“トランプ離れ”が起きている理由 [七波羅探題★]
まずはメキシコ潰すべき
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