その一方で、意外なことに、内陸の川や湖に近い都市住民は平均寿命がやや短くなる傾向が見られています。
ただし、農村部の川や湖の近くに住む人では寿命が延びる可能性が指摘されており、一概に内陸の水辺近くが悪いわけではないようです。では、どうしてこのような違いが見られたのでしょうか?
研究の詳細は2025年5月29日付で学術誌『Environmental Research』に掲載されています。
研究チームは今回、アメリカ本土の6万6000以上の国勢調査区を対象に、寿命と「海や水辺への近さ」との関係を調査。その結果、海岸からおおむね50km以内に暮らす人々は、平均して寿命が1年以上長くなっていたのに対し、内陸の水辺(面積10~20平方km以上)に近い都市住民では、逆に寿命がやや短くなる傾向が見られたのです。
「全体的に見ると、沿岸地域の住民はアメリカの平均寿命である79歳より1年以上長く生きる傾向があり、内陸の川や湖の近くにある都市部に住む人々は、平均寿命が約78歳とやや短くなる傾向が見られました」と研究者はまとめています。
では、海辺の近くに住むと寿命が延びるのはなぜでしょうか?海のそばでの生活が寿命に良い影響をもたらす最大の理由は、まず気候の穏やかさです。
調査によると、海に近い地域は猛暑日(最高気温35℃以上)や極寒日(最低気温-5℃以下)が内陸の都市部に比べて少なく、気温の変動も比較的穏やかでした。
これにより、心臓病や高血圧などの疾患リスクが抑えられ、結果として死亡率の低下につながっていると考えられます。
また、空気の清浄さも大きな要因です。
沿岸部は内陸に比べてPM2.5(微小粒子状物質)や煙害の発生が少なく、総じて大気環境が良好でした。海のそばでの生活が寿命に良い影響をもたらす最大の理由は、まず気候の穏やかさです。
調査によると、海に近い地域は猛暑日(最高気温35℃以上)や極寒日(最低気温-5℃以下)が内陸の都市部に比べて少なく、気温の変動も比較的穏やかでした。
これにより、心臓病や高血圧などの疾患リスクが抑えられ、結果として死亡率の低下につながっていると考えられます。
また、空気の清浄さも大きな要因です。
沿岸部は内陸に比べてPM2.5(微小粒子状物質)や煙害の発生が少なく、総じて大気環境が良好でした。
では、同じ「水辺」であるにもかかわらず、内陸(特に都市部)の川や湖の近くに住む人々はなぜ寿命が短くなる傾向にあるのでしょうか?
まず、気温の極端さがその一因です。都市部の内陸水域近くでは、猛暑日の発生数が海沿いの10倍近くにもなり、気温のピークが寿命に悪影響を及ぼしていると考えられます。
さらに空気の汚れも問題です。
調査では、内陸の川や湖の周辺はPM2.5濃度が高く、煙害のある日も多いことが明らかになりました。これが心臓病や呼吸器疾患、さらにはうつ病などにも影響している可能性があります。
また、洪水リスクや地形の険しさも見逃せません。特に都市部では排水インフラが整っていない地域も多く、洪水や大雨によるストレスや衛生リスクが重なり、生活の質が損なわれているとみられます。
興味深いのは、農村部の水辺ではこの傾向が逆転することです。内陸の自然豊かな川辺や湖畔に住む農村の住民は、むしろ寿命が延びる傾向を示していました。
これは自然環境がより良好で、空気も清浄であること、ストレスの少ない生活環境が影響している可能性があります。
今回の研究は、アメリカ全土の膨大なデータを用いて、「海の近くに住むと寿命が延びる」という関係を明確に示した初の体系的研究です。
単に水があるだけではダメで、「どんな種類の水辺か」 「どんな環境か」が重要であることが明らかになりました。
この発見は、今後の都市計画や公共政策にも大きなヒントを与えるでしょう。
引用元: ・【米オハイオ州立大学研究】海の近くに住む人々は、平均寿命よりも長く生きている
アテにならんにも程がある。
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