2025/7/26 13:00
医療分野で重宝される一方、米国では密造品の過剰摂取で毎年数万人規模の死者が出ている麻薬性鎮痛剤フェンタニル。脳などの中枢神経系を抑制する薬で、乱用すれば筋肉が弛緩(しかん)し無気力状態になるといった副作用もあり、上体を曲げて腕を垂らす「ゾンビ」のような行動を取ることも。日本で密造フェンタニルの流通は確認されていないが、若者を中心に薬物の過剰摂取は拡大。専門家は「対岸の火事とは言い切れない」と警鐘を鳴らす。
「く」の字で立ち尽くす人
繁華街から1本通りを外れると、上体を折り曲げた「く」の字で立ち尽くしたり、徘徊(はいかい)したりする人たちの異様な光景が目に飛び込んでくる。
歩道の隅では男女を問わず、数人ずつが集まって宙を見つめ、座り込んでいる。通りには店が立ち並ぶが、中をのぞけばもぬけの殻だ。
「ゾンビ映画でみたことがあるような街」。フェンタニル乱用者が多いとされる現地を取材したジャーナリストの堀潤氏(48)はこう語る。
堀氏は2023年末から24年初めにかけて3日間、米西海岸サンフランシスコのテンダーロイン地区を訪れた。地区はかつてデパートや商店などでにぎわったが、新型コロナウイルス禍で路上生活者が増え、店の閉店も相次ぎ、街は荒廃。フェンタニルは比較的安価で手に入り、貧困層にも広まったとみられる。
効果はモルヒネの100倍
ケシ由来のアヘンに含まれる「モルヒネ」と似た作用を持つ薬物は「オピオイド」と総称される。天然由来のものには呼吸抑制や便秘を引き起こすという欠点があり、フェンタニルはその点を改良するため、1960年代に合成された。モルヒネの100分の1の量で同等の鎮痛効果を発揮し、がんの緩和治療や手術時に使われる。
薬物乱用問題に詳しい武蔵野大の阿部和穂教授(薬理学)によると、米国では製薬会社の戦略もあって、30年ほど前からオピオイドが安易に処方され、依存症が広がった。効果が切れる際には強い不快感に襲われるといい、2010年代になると、より強い効果を持つフェンタニルが求められるようになった。
その後、コロナ禍で乱用が爆発的に増加。米疾病対策センター(CDC)のデータでは、21~23年に毎年7万人以上がフェンタニルを中心とする「合成オピオイド」の過剰摂取で死亡した。
続きは↓
https://www.sankei.com/article/20250726-X6U7VJVZ6RIIXMGJKL3Q4P5NHY/
引用元: ・米国死者年7万人…「ゾンビ」生む麻薬フェンタニル 日本も対岸の火事で済まない薬物事情 [ぐれ★]
コメント