MIGA（Make Ishiba Go Away＝石破を追い出せ）　自民党内で高まる石破おろしのマグマ

「自民党は、一般市民と保守層の両方を満足させるという願望のバランスを取ることができなかった。
両方をある程度失ったようだ」と、コンサルティング会社『アジア・グループ』のシニアアソシエイト、
西村凜太郎氏は述べた。

自民党と連立パートナーを組む公明党は、政策ごとに他の政党との協力関係を模索すると見込まれており、
この戦略は不安定さの要因となる可能性がある。しかし、石破氏が辞任した場合――アナリストの
一部や自民党内の人物が秋までに辞任する可能性があると指摘するように――党は後任を見つけるのに
苦労する可能性がある。その場合、日本は2000年代後半の混乱に逆戻りし、5年間で6人の首相が
交代した状況に陥るだろう、と元閣僚の一人が述べた。

「日本の政治は変わったが、党はまだその変化に対応できるリーダーを持っていない。強力な
人物はいるが、離反した有権者を戻し、経済のビジョンを伝え、現在重要な役割を果たす新党と
協力するための要素を全て備えた人物はいない」（自民党ベテラン）。現在、突然の総選挙は
災難になると、同氏は付け加えた。今回の参院選と自民党の現在の危機は、日本が深刻な経済的
ストレスに直面している最中に起こっている。数十年にわたる停滞の後、物価が上昇し、日銀が
“金融政策の正常化”を進める中で金利がプラス圏に上昇し、観光客と外国人居住者の数が急増
している。穏健派の石破氏は、その衝撃を回避する適切なリーダーではなかったと、自民党の
最高顧問が指摘した。党内の一部メンバーは、私的に“MIGA（Make Ishiba Go Away＝石破を追い出せ）”
という言葉を造語している。

https://www.ft.com/content/af22439d-f4f5-4e76-8576-b7477597eef9

自民党の敗北は比較的僅差だった。与党合わせて過半数に3議席及ばず、出口調査や選挙前の予測が
懸念していたよりも良い結果だった。しかし、複数の観測筋は「この選挙が新たな政治的風景を
示唆している」と指摘した。アメリカやイギリス、欧州でみられるような極右ポピュリズムの
台頭が背景にあるからだ。彼らは、「ポピュリスト政党が日本の政治の恒久的な特徴となるか
どうかが問題だ」と述べた。

自民党の主な制約――そしてその長期政権の理由――は“誰もが支持する政党”を目指してきた
点だと、コンサルティング会社『ジャパン・フォーサイト』のリサーチアナリスト、トバイアス・
ハリス氏は指摘した。若年層の都市部住民の支持を獲得するためにバランスを過度に傾ければ、
農村部の支持基盤を離反させるリスクがあり、逆もまた然りだ。「自民党は昨年比で数百万票を
失った」とハリス氏は述べた。「これは自民党にとって2つの危機を招く。一つは議会で立法や
予算を成立させる直近の危機、もう一つは自民党自身にとってのより大きな危機だ。こうなった
以上、石破氏も党を率いることはできないだろう」。

【東京特派員 レオ・ルイス　ハリー・デンプシー】
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