1枚あたりの最大出力が約3倍に。驚きの変換効率も実現
太陽光電池等を手がける中国の新エネルギー企業、Risen Energyが、太陽光パネルを大幅に進化させました。
一般的な太陽光パネルの出力は、1枚(およそ150cm×80cm)あたり200~250W程度。Risen Energyはその約3倍にもなる平均740Wpの出力を持つ「Hyper-ion」という太陽光パネルを、量産できるようになったと言うのです。
枚数だけで言っちゃえば、これまで3枚必要だった規模を、1枚でカバーできるようになったということ。一般的な住宅用パネルと比べると面積は大きそうですが、高出力タイプのものでも400W前後ですから、大きな進化と言えそうです。
また、太陽光を電気に変える効率が高いことにも注目です。太陽電池セルの変換効率が26.61%という、業界トップクラスの効率性を実現。一般的なものが約20%ほどなので、大きな進化なわけですね。
引用元: ・中国企業、発電量3倍の太陽光パネルの量産化に成功、もともとは三洋電機が開発した技術 [422186189]
屋根につけるパネルの数が減る?
じゃ、具体的に私たちの生活にとって、どんないいことがあるんでしょう?
100MW規模の設備容量の太陽光発電所に当てはめて試算してみると、「年間300万kWh」従来よりも多く発電できるようになるそうです。一般家庭の年間電力消費を約4000kWh/世帯で換算すると、「約750世帯分」の電力を追加で賄える規模。
さらに、年間で2880トンの二酸化炭素排出も回避でき、高い発電量と超低炭素性能という2つの強みを持っています。
もう少し私たちの生活にも近いところで考えてみましょう。
一般的な家庭の場合、5kW前後の太陽光発電システムが目安とされます。250Wクラスのパネルなら、20枚必要な計算です。それがRisen Energyのパネルを使えば、7枚ほどでOKな計算です。パネルの大きさが異なるので単純には言えませんが、限られた屋根などのスペースでも、少ない枚数で、効率的に電力を賄えそうですよね。
期待の太陽光パネル技術、ヘテロ接合
他の発電方法と比べて変換効率がそれほど高くない太陽光パネルは、発電のために広大な設置面積が必要で、景観を損ねる問題もありました。これからはこうした問題を、技術で解決していけそうです。
これを実現しているのが、HJT(ヘテロ接合)という技術。
2つの異なる種類の半導体を組み合わせる太陽電池技術で、高い変換効率と優れた発電性能を誇ります。両面で発電でき、夏場などの高温時に性能が低下することもないことが特徴です。
もともと日本のパナソニック(旧三洋電機)が製造した歴史もありますが、近年注目を集めている技術です。
実験に成功しただけじゃない、量産できるようになりました
ポイントは、Risen Energyが、そんな高出力で高効率な太陽光パネルを、量産の工程に落とし込み、製品化に繋げることに成功したこと。実験は成功したけど、流通はまだ先の話、ではなくて、革新的なプロダクトがこれから一気に広がっていくことが予想できます。
Risen Global PV研究所 所長の楊伯川(ヤン・ポーチュアン)博士は、「今後3年以内にセル効率27%以上と、790W超のモジュールの実現を目指しています」と述べています。
環境負荷が少なく、これからさらに増える電力需要にも応えていく。理想的なエネルギーの開発が、今世界で進んでいます。
(以下略)

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