東洋経済2025/07/20 9:00
https://toyokeizai.net/articles/-/891145
https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/6/0/1200w/img_6081eebfd4552a98cb3b5426a7bc0b41290437.jpg

東京都の離島航路を担う「東海汽船」から、ジェットフォイル「セブンアイランド愛」の引退が発表された。
この船は、昨年7月に東京・竹芝から伊豆諸島に向かう途中、不具合でコントロールが利かなくなり、乗客116人を乗せて約22時間も漂流するという事態を引き起こした。その後も修理のうえで運航を続けたものの、1980年の建造から45年が経過、老朽化の波には勝てなかったようだ。
この船とおなじタイプの「ジェットフォイル」は、独自の技術で圧倒的なスビードを誇り、「海面をジェット機のように飛ぶ船」として知られる。去り行く「セブンアイランド愛」を惜しむとともに、船会社や自治体が頭を悩ませる「ジェットフォイル置き換え事情」を探ってみよう。
ジェットフォイルの最大の強みは「速さ」だ。
「セブンアイランド愛」が就航していた東京・竹芝~大島・利島などへの所要時間は、いずれも通常の大型フェリーの1/3程度。神津島などは最大で、7時間近い時間短縮(フェリー9時間55分、ジェットフォイル3時間5分)が可能となっている。
それもそのはず、普通の船が約20ノット(時速35km相当)で航行するところ。ジェットフォイルは45ノット(時速83km相当)で進む。
■高速さの秘訣は「飛ぶこと」にある
高速航行の秘訣は「水面を飛ぶこと」。飛行機の横にある翼部分のかわりに、ジェットフォイルは「水中翼」と呼ばれる翼を船の下部に持つ。ここから毎分180t(一般的な25mプールの半分相当)もの海水を取り込み噴出することで、海面から1mほど飛びながら前進する。
普通の船が「浮く」(浮力)とすれば、こちらは飛行機に近い原理で「飛ぶ」(揚力)ので、早くて当然、という訳だ。
かつ、海面を”飛ぶ”がゆえに、少々の高波をものともせず、波の影響を受けるフェリー・旅客船より、はるかに乗り心地がよい。2024年の漂流の際はエンジン停止・着水した状態で波を受けて相当に揺れたが、そんな事態が起きなければ、航行の安定感は抜群にいい。
なお、ジェットフォイルはもともとアメリカ・ボーイング社によって開発され、「ボーイング929」という型式を持っていることもあり、駆動部は航空機とかなり共通するものだ。現在ではボーイング社が撤退、川崎重工業がライセンスを引き継ぎ、保守・管理を担っている。
現在のところ、国内の就航地は伊豆諸島(東海汽船)、新潟県・佐渡島(佐渡汽船)、鹿児島県(種子屋久高速船)、福岡県・壱岐諸島(九州郵船)、長崎券・五島列島(九州商船)など。
「船の3倍の速さで海上を飛べて」「乗り心地がよい」ジェットフォイル旅は、今後とも重宝されていく、はず……しかし現実には、船会社だけでなく川崎重工業・国・自治体を巻き込んだ諸問題が、たびたび発生しているようだ。
■部品が入手困難に…トラブルも多いジェットフォイル
ジェットフォイルの船体は各社とも建造から30・40年と経過しているが、川崎重工業はWebサイトで「アルミ合金の船体で腐食には強く、エンジンを交換すれば性能や経済性が落ちることはない」とうたっている。
しかし実際問題、各社のジェットフォイルはしばしば運航トラブルを起こしている。中でも多いのが、「セブンアイランド愛」の引退原因にもなった「老朽化によるトラブル」だ。
船体が老朽化しないといっても、中身にあたるエンジンやガスタービンの製造中止などが発生しており、各社とも「製造中止のガスタービンを修理や代用でしのぐ」(隠岐汽船のコメント 2024年7月30日、山陰中央新聞より)状態。中には古い部品の折損で自動停止するような事態(2020年9月・佐渡汽船)も発生しているほどだ。
また油圧系のトラブルも多く、なかには長崎県・九州商船「ぺがさす」の2019年9月の事故のように、漏れた油がガスタービンに落ちて発煙するような事例もある。
昨年の「セブンアイランド愛」漂流も、油圧(ホース交換)にかかわるトラブルが原因となっている。なお、実はこの船が「セブンアイランド愛」になる前の「加藤汽船・ジェット7」時代(1991年12月)も、油圧系の操作ミスで明石海峡大橋の近くを5時間ほど漂流したこともある。
※以下引用先で
引用元: ・「セブンアイランド愛」が引退へ。残り18隻 早くて快適な「ジェットフォイル」更新問題が悩ましい理由 [七波羅探題★]
LAWSONに鞍替えします
コメント