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浅倉拓也 2025年7月18日 9時00分
参院選(20日投開票)で、外国人の受け入れ抑制などが争点になっている。排外的な考えが日本で広まっているのか。社会意識論や政治社会学が専門で、外国人に対する日本人の意識を調査する早稲田大学文学学術院の田辺俊介教授に聞いた。
日本全体に排外的傾向「あるとは言えない」
――日本人の意識を調査をしてこられました。外国人への否定的な感情は、日本に広がっているのでしょうか。
これまでの調査を見る限り、日本全体に「排外的」な傾向があるかというと、そうとは言えません。
2009年から4年ごとに、全国の選挙人名簿から無作為抽出した成人の男女に、郵送やインターネットで調査をしてきました。
最新の21年調査では8640人に依頼し、3082人の回答を得ました。外国人が増えると「日本経済が活性化する」かという質問については、「そう思う」「ややそう思う」と肯定的だった人が47%と多く、「どちらともいえない」(38%)、「そう思わない」「あまりそう思わない」(16%)は少数でした。
外国人が増えると「異文化の影響で日本文化が損なわれる」かを尋ねた質問でも、「そう思わない」「あまりそう思わない」(47%)が、「そう思う」「ややそう思う」(23%)を上回っています。
外国人の増加で「日本社会の治安・秩序が乱れる」か、という質問には56%が「そう思う」「ややそう思う」と答えましたが、その割合は、成人年齢の引き下げで単純比較はできませんが、09年調査の69%から低下。「働き口が奪われる」という懸念も減っています。
日本に住む外国人は近年急増しています。日本人の大多数が排外的な傾向を持つのであれば、外国人の急増を受けて悪影響があると考える人が増えそうなものですが、実際には人々の懸念は高まっていませんでした。
――その一方、日本にいる外国人については、デマや誤解もSNSなどで目立ちます。なぜでしょうか。
排外主義的な思想を持った人が悪意を伴ったデマを流し、それが尾ひれも付けながら誤解として広がっていくのだと考えています。
例えば、「留学生が日本人学生より優遇されている」といった批判がSNSなどではあります。多くの場合、留学生全体の3%ほどしかいない国費留学生などを対象に、生活費などが支給されている例を取り上げているようですが、まるですべての留学生が優遇されているかのような受け止めが少なくありません。
そのような受け止めが広まるのは、高い授業料や「奨学金」という名の学生ローンなど、日本人学生の苦境が背景にあると思います。
――生活保護についても、受給できる外国人は永住者や定住者に限られ、受給世帯に占める外国人の世帯は23年度は3%未満ですが、外国人が「乱用」しているとの言説が広まっています。
そもそも日本では、受給者がたとえ日本人があっても、生活保護を受けること自体をたたく風潮があります。「権利」というより「恩恵」と捉えられがちで、「なぜ外国人にまで」となりやすいのでしょう。
1982年まで在日外国人は国民年金に加入することが出来なかったため、在日コリアンの高齢者は低年金の人が多く、比較的高い割合で生活保護を受給していましたが、そうした「事実」の一部をとらえて、「特権」とのデマが生まれました。
悪い情報の方が「人の情動を刺激」
(中略)
――何が必要でしょうか。
少子高齢化が深刻な日本は、他国にも増して、外国人労働者に頼らざるをえない状況にあり、本来の意味での「移民政策」こそ選挙で語られるべきだと、私は考えています。
外国人の子どもが十分な教育を受けられず、一部であっても非行に走るようなことがあれば誰が得をするでしょうか。
教育などの負担を地方自治体だけに負わせるのでなく、外国人労働者の恩恵を受けている企業にも応分の負担をさせる制度が必要ではないか。そんな政策こそ議論されるべきです。
※全文はソースで。
引用元: ・日本に「排外主義」が広がった?否定した研究者が求める外国人政策 [少考さん★]
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