「電子タバコで妊娠力が7％下がる」と新たな英研究結果が指摘。見えないリスクとは

電子タバコと妊娠力の関係性は、あまり議論されていない。そのため、電子タバコを吸うと、「抗ミュラー管ホルモン（AMH）」の値が7%近く低下するというこのニュースには驚いた人も多いはず。AMHは卵巣の卵胞から分泌されるホルモンで、体内に残存する卵子の数を知るための指標となる。つまり、AMH値の低下は妊娠力の低下を示す。そして、女性用検査キットメーカーHertility社が毎年発行している第3回生殖レポートにより、紙巻きタバコや電子タバコの喫煙歴がある人は、喫煙歴がない人よりも、AMHの平均値が低いことが判明した。

※この記事はイギリス版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。

■妊活中の女性の22%は電子タバコを吸っている
同レポートは次のように述べている。「電子タバコは紙巻きタバコよりも“安全”な代替品と言われています。しかし、今回の研究結果を見る限り、電子タバコが女性のホルモンや生殖機能に無害でないことは明らかです」。それでも、妊活中の女性の22%は電子タバコを吸っている。

英国は、米国と日本に次いで世界で3番目に大きい電子タバコ市場。女性の17%強は電子タバコを吸ったことがあり、男性の6.5%と女性の約5%は現在電子タバコを使用している。英国の電子タバコユーザーは360万人以上。この問題に終止符を打つため、英国では使い捨て電子タバコを禁じる法律が施行されようとしている。

■妊娠を望む女性にとっての”重大なリスク”
2024年1月、WHOは、電子タバコの使用がもたらす長期的な影響はまだ明確になっていないとした上で、「電子タバコから有害物質が発生するのは確かです」と説明した。特に20?30代の女性にとって衝撃なのは、電子タバコ使用と妊娠力の低下に関連する研究が増えていること。

2019年に『Journal of the Endocrine Society』に発表された研究では、電子タバコの蒸気が胚の着床や成長を妨げる可能性があることが示された。「妊娠前と妊娠中のメスのマウスを電子タバコの蒸気にさらしたところ、1匹目の赤ちゃんを産むまでの時間が大幅に遅れました」と説明するのは、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校の生理学部細胞生物学科長で、この研究を率いたキャスリーン・キャロン教授。この蒸気の影響は出産後にも及んだ。「電子タバコの蒸気にさらされたマウスの子どもを調べたところ、メスの子どもが加齢とともに異常な体重増加を示したことも判明。妊娠中の電子タバコは、紙巻きタバコと同じように、子どもの長期的な健康リスクにつながる可能性もあるということです」とキャロン教授は補足する。

研究チームは、研究において、一般的に危険性の根源として挙げられる香料が影響していないことを確認している。「私たちが研究で用いた電子タバコには、ニコチンと一般的なキャリア物質（PGやVG）しか含まれておらず、香料や添加物は一切使われていませんでした」

■香料入り電子タバコが精子に与える影響も
2016年、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのウィメンズヘルス研究所で生殖科学を専門とするジョイス・ハーパー教授は、電子タバコに含まれる一部の香料が精子に与える影響を調べた。ハーパー教授率いる研究チームは、30個のヒト精子サンプルを中国モンとバブルガムという2種類の香料にさらした。なお、この香料の濃度は、電子タバコを時々吸う人と毎日吸う人が摂取する濃度と一致していた。その結果、最も高濃度の香料にさらされた精子の動きは、さらされていない精子に比べて“著しく”遅いことが判明。また、オスの成体マウスを3種類のフレーバー付き電子タバコの蒸気に4週間さらす実験では、そうすることでマウスの精巣が縮む可能性があることも分かった。こうした結果を裏付けるには、さらなる研究が必要となる。しかし、ハーパー教授は、これまでの研究結果だけでも、電子タバコの使用を減らす十分な理由になると言う。

https://news.yahoo.co.jp/articles/94bdbdfe3da393c1368adf4018f0535ed79dcf17
7/16(水) 23:00配信

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