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2025年7月15日 2:00
20日投開票の参院選で、国内に滞在する外国人への規制のあり方が争点として急浮上している。背景には外国人の増加が治安の悪化につながったり、日本の制度を不正に利用したりしているとの主張がある。データをみると必ずしも実態に沿った認識といえず、イメージが先行している可能性がある。
法務省は2024年3月公表の調査で外国人の増加が「地域の環境(治安、風紀等)に悪い影響があると思うか」を尋ねた。「そう思う」と「少しそう思う」の合計は45.5%にのぼった。「そう思わない」と「あまりそう思わない」の合計(40.5%)を上回った。
実際にはどうか。外国人刑法犯の検挙件数は23年に1万5541件だった。前年比で2割増えたが、4万件超だった05年に比べて大きく減った。
その間、日本国内の外国人は急増した。厚生労働省によると24年10月末の外国人労働者数は比較できる08年の4.7倍の230万人超となった。
そのうち「専門的・技術的分野」の在留資格を持つのは同8倍以上の71万9000人となった。留学の資格外活動でアルバイトなどをする外国人労働者も同4倍ほどのおよそ31万人に増えた。
24年の訪日外国人も05年比5.5倍のおよそ3687万人に達した。
出入国在留管理庁によると、外国人の不法滞在者は25年1月時点で7万4863人。1993年の4分の1で、2010年以降は10万人を下回る。不法滞在はもちろん認められないものの規模が急増しているわけではない。
外国人が日本の制度にただ乗りしているとの批判もある。
X(旧ツイッター)で拡散したのが国民健康保険(国保)をめぐる「外国人の未納は年間4千億円」などとする投稿だ。外国人も在留期間が3カ月を超すと、勤務先の健康保険組合に入っていない場合などは国保に加入する義務がある。
厚労省は4月、世帯主が外国人の場合を抜き出して集計できる150市区町村を対象とする保険料の納付率を巡る調査をまとめた。24年4月から12月の金額ベースで63%だった。日本人も含む全体の納付率は93%で、外国人の納付率の低さが鮮明になった。
ただ厚労省データによると国保の未納額は日本人も含んだ全体でも22年度に1457億円だった。外国人の未納が「年間4千億円」というのは事実に反する。
外国人が医療保険制度に財政面で貢献している面もある。厚労省の別の調査で、保険料を支払う被保険者総数に占める外国人の割合は23年度に4%だった。一方で総医療費のうち外国人向けは1.39%にとどまった。
生活保護を巡っても今春、「生活保護を受給している世帯の3分の1は外国人」などとする投稿がSNS上で拡散した。
ただ厚労省によると、23年度に生活保護を受給した世帯は全国で165万478世帯で、このうち外国籍の人が世帯主のケースは4万7317世帯だった。生活保護の受給世帯に占める比率は2.9%で、3分の1に遠く及ばない。
国際基督教大の橋本直子准教授は政府が長年にわたり明確な外国人政策を示さず「外国人に批判的な勢力が付け入る隙があった」と話す。移民を原則受け入れないとしながら外国人就労者は増え続けた。多くの国民が政府の説明に疑問を持つだろうとみる。
SNSの浸透で外国人がからむ事件が拡散しやすくなり、実態以上に外国人へのマイナスの印象を持つ傾向が高まったと分析する。
引用元: ・外国人の滞在増加で治安悪化? 刑法犯は20年で大幅減 [七波羅探題★]
当たり前だ不起訴なんだから
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