いまから38年前の1987年。当時41歳で、不動産事業などを手がけていたトランプ氏は、CNNのインタビューにこう答えていました。
いまのトランプ大統領の発言と言われても、まったく違和感のないこの発言。
“関税”で世界を振り回し続ける、トランプ大統領の内(うち)にあるものとは。
(ワシントン支局記者 小田島拓也)
トランプ関税 源流は日本?
トランプ大統領が強いこだわりを見せている自動車分野。
「その源流は1980年代の日本にある」と指摘するのは、日米関係の専門家、ダートマス大学のジェニファー・ミラー准教授です。
「多くの人々が、アメリカが外国から搾取されているのを見ることにうんざりしている。彼ら(外国)は私たちの後ろで笑っているのだ」
今月の発言かと聞き間違えてしまうようなトランプ氏の発言は、いまから38年前の1987年9月、CNNのインタビューに答えたときのもの。
ミラー准教授は、トランプ氏の主張の核心は「アメリカが数十年にわたって外国から富を奪われ続けており、関税こそが、その状況を逆転させる手段だと信じている点だ」と指摘します。
特にその標的となったのが、1980年代、製造業で世界をリードした日本でした。
トランプ大統領は、当時、「日本のような、表面上は最も親密な同盟国である国々が、実は私たちの富を奪っている。われわれは、彼らを守るために税金を払っているのに、アメリカに輸入される日本製品を見てほしい。自動車産業や電子機器の工場で職を失っているアメリカ人を見てほしい。これはばかげている」と極めて強い不満を打ち明けていました。
アメリカの自動車や鉄鋼などの産業は、日本やヨーロッパなどからの輸入拡大で衰退。「ロックフェラーセンター」などの不動産も日本の企業に次々と買収され、“不動産王”のトランプ氏にも、苦い記憶となりました。
ミラー准教授
「こうしたアメリカの衰退論は、トランプ氏の世界観の根本的な部分であり、現在に至るまで驚くほど一貫している。製造業がかつて支配的だった地域に住む人々、産業空洞化のプロセスから回復していない地域の人々が、トランプ氏の訴えに共鳴している。完全に正確な主張とは言えないが、この主張に共感し、真実だと感じる人々が存在することは間違いない」
トランプ氏の主張に共鳴する多くの労働者たち。その声は、私も、激戦となった去年の大統領選挙を取材する中で、数多く聞いてきました。
その1人が、大手自動車メーカーにおよそ30年勤務するクリス・ビターレさんです。ビターレさんは、自動車など製造業にこだわり続けてきたトランプ大統領を強く支持しています。
ビターレさん
「トランプ氏が、1980年代から製造業が抱える問題に懸念を抱いていたことは、YouTubeの昔のインタビューを見れば分かる。ニューヨークの不動産開発業者のトランプ氏が、製造業に関心を持っているのは、それがどんな理由であれ、われわれを忘れていないという証拠だ。共和党や民主党のいずれの政治家たちにも、忘れ去られていると感じている人は多いと思う」
労働者のこうした思いを“血の叫び”だと捉えるのは、ワシントンに拠点を置く投資コンサルタントの齋藤ジン氏です。ジョージ・ソロスなどの著名投資家を顧客に持ち、ベッセント財務長官とも10年来の親交があります。
齋藤氏
「トランプ大統領を支持する有権者からすれば、自分たちの製造業の仕事はなくなり続け、街が空洞化して、フェンタニルなどの薬物の中毒者も出てきている。こんな状況になるまで、誰も助けてくれなかったのが、自由貿易、グローバリズムだと考えている」
トランプ氏については「労働者には、自分たちのために闘ってくれる大統領と映っている。トランプ大統領のやり方には、多少問題があると感じてはいるが、これまで誰も闘ってくれず、放置し続けてきた」として、労働者にとって“血の叫び”になっているという見方を示します。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250711/k10014860301000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250711/K10014860301_2507111107_0711112143_02_13.jpg
引用元: ・【NHK】25%の衝撃 トランプ関税の源流は日本?
経験からしか学べないこともある。
むしろ保護したせいで改革も出来ずに設備もボロいままのイメージ
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