都内の労働組合の連合組織が、労働者の生活実態や持ち物を調査して、1カ月の最低生計費を試算した。
世田谷区在住の25歳単身という想定で、男性が29万6560円(住民税など税込み)、女性が28万7809円(同)になった。
これを賄おうとすれば、時給換算(税込みを月173・8時間で計算)で男性は1706円、女性は1652円は必要となり、2025年の都の最低賃金1163円とは大きな開きがある。
調査は2019年の結果を再試算した。都内の産別組合や地域の労組などで作る東京地評(矢吹義則議長)が実施し、生計費に詳しい静岡県立大短期大学部の中沢秀一准教授(社会福祉)が監修した。
19年は東京地評に加盟する組合員を対象にアンケートを実施。30代以下の411人が回答した生活実態や所有している持ち物などを分析し、25歳の単身者が必要とする生計費を算出した。
調査結果によると、1カ月の食費は19年比で男性が1万6751円増の6万1112円、女性が1万2161円増の4万8019円だった。
1日に必要なカロリーの90%をとるために必要な食費と嗜好(しこう)品を合わせた金額は男性が1502円、女性が1188円だった。
住居は、若者が住みたい街に挙げることが多い世田谷区をモデルにした。単身で25平方メートルの民間借家を想定し、住宅情報誌やインターネット情報を調べ最低価格帯を採用。
月々の費用は6万8750円(更新費用も分割で計上、19年比3125円増)だった。
最低生計費(税込み)全体では、19年比で男性が3万7089円、女性が3万898円、それぞれアップした。
中沢准教授は今回の生計費について「ぜいたくな暮らしではないが、娯楽を楽しんだり飲み会に参加したりする普通の暮らしにかかる費用を試算した」と説明。
「生計費を時給に換算した時に最低賃金と大きな隔たりがありがくぜんとする。
最低賃金やその近くで働いている人は、普通の暮らしをどこかで諦めなければならない、あるいはダブル、トリプルで働かないと普通の暮らしがままならないということだ」と分析する。
中沢准教授は全国27都道府県で労働組合などが出している最低生計費を監修している。大都市圏では住居費に大きな費用がかかるが、地方都市でも車の維持費が高額になるため生計費全体の額はほぼ変わらないという。
ネット通販の広がりなどで、その傾向はますます強くなっているといい、「全国の生計費がほぼ変わらないのなら、最低賃金も一律にすべきだ。そして普通の暮らしが可能な賃金にすべきだ」と話した。
生計費の調査にあたり、20~30代の労働者から意見を聞く会議が5月に東京都豊島区で開かれた。医療機関や公務員、IT会社で働く33人が参加し、物価高の影響など家計を取り巻く厳しい状況を語った。
会議では19年以降の働き方、生活の変化などについて話し合った。
参加者は「コロナ禍でオンライン会議が増え、ネット回線を新たに引くなど通信費の負担が増えた」(男性・団体職員)や「学童の臨時職員をやっているが、それだけでは生活できず、洋裁の仕事を委託で受け長時間働いている」(女性)と最近の状況を説明した。
物価高による影響では、「4年前から1人暮らしを始め自炊をしているが、とにかく物価が高い」(製造業・男性)、「九州出身だが、インバウンドの増加などで飛行機代が高くなり、年2回帰省するのも大変」(団体職員・女性)との嘆きも。
生活の変化については「衣料品を買うのはほぼネット通販だ。実店舗より安く買える」(公務員・女性)や「コロナ後、職場の飲み会は激減した。けれども、物価高騰で1回飲み会があれば5000円は飛んでいく」(会社員・男性)、「ホテル代が高騰しているので、旅行は日帰りでしかいかない」(団体職員・女性)などの発言もあった。
オススメは千歳烏山が下高井戸
物価高止めろだろ
もっと都下に下って来いよ
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