フランスのリヨン高等師範学校(ENSリヨン)で行われた研究によって、熱力学第2法則を「95%もの高確率で破るように見える」驚異的な現象が実験的に確認されました。
研究では、髪の毛よりもはるかに小さい微小な板バネを使い、周囲のごくわずかな温度変動(熱ゆらぎ)を巧みに利用して、本来であれば外部からのエネルギー供給が不可欠な状況であっても、95%の確立で必要な自由エネルギー差を「タダ」で済ませることに成功しました。
これは、ナノスケールの世界で起こる確率論的熱力学という新しい理論に基づくもので、エネルギーの供給が必要となる状態遷移を「ゆらぎ」に頼って引き起こしたものです。
果たしてこの結果は、本当に熱力学第2法則を揺るがすものなのでしょうか?
研究内容の詳細は『Physical Review Letters』にて発表されました。
引用元: ・リヨンといったらリヨン伝説フレアとリヨン高等師範学校しかないリヨンで熱力学第二法則を95%破る実験 [866556825]
その破れる場合を達成した実験
バルテュスも
S_G = -k_B ∫ ρ(Γ) ln ρ(Γ) dΓ
がリウビルの定理により孤立系で保存されるため、エントロピー増大を記述するには必ず「粗視化」が必要です。具体的には、観測可能なマクロ変数に対応する相空間領域ごとに分布を粗視化し、
S_CG = -k_B ∫ \barρ(Γ) ln \barρ(Γ) dΓ
として定義したときに初めて、熱力学的エントロピーが定義され、不可逆過程で増大します(参照: doi.org/10.1103/PhysRevA.76.022104 , doi.org/10.1103/PhysRevA.99.010101 )。
1. 微視的(fine-grained)エントロピーの不変性
Gibbs が導入した微視的エントロピー
S_G = -k_B ∫ ρ(Γ) ln ρ(Γ) dΓ
は Liouville の定理により孤立系内で一定のままであり、エントロピー増大を記述できません(参照: doi.org/10.1103/PhysRevA.76.022104) 。
2. 粗視化(coarse-graining)エントロピーの定義
マクロ変数に対応する相空間セルごとに平均化した分布 ρ_CG(Γ) を用い、
S_CG = -k_B ∫ ρ_CG(Γ) ln ρ_CG(Γ) dΓ
と定義すると、非平衡過程や不可逆過程で S_CG が増大し得ます。これが熱力学的エントロピーであり、粗視化を経なければ第二法則は成立しません(参照: doi.org/10.1103/PhysRevA.76.022104) 。
3. 量子系への一般化
古典的粗視化エントロピーの枠組みを閉じた量子系へ拡張し、局所測定による粗視化操作を組み込んだ量子粗視化エントロピーでも、平衡系では従来の熱力学的エントロピーと一致し、非平衡過程でも長時間で増大することが示されています(参照: doi.org/10.1103/PhysRevA.99.010101) 。
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