夏の参院選を前に早くも「石破おろし」の狼煙(のろし)があがった。3月12日、自民党の参院議員総会で、改選組の一人である西田昌司参院議員が「今のままでは参院選を戦えない」と石破茂首相の退陣を求めたのだ。
その後の記者団との取材にも昨年の衆院選で大敗した石破首相が「参院選の看板になるのはあり得ない」と公然と党総裁を否定した。
石破首相は田中角栄を尊敬していると語っている。若き日の私は田中が嫌いだった。金権政治の象徴にしか思えなかったからだ。あるとき年配の先輩に指導された。「田中角栄の良さが分からなければ政治は分からない。まだまだ未熟だ」。
悔しさもあり必死に田中の本を読んだ。秘書であった早坂茂三の著作はほとんど読破した。早坂の著作からは本当に田中に対する愛情を感じた。偉大な政治家には偉大な秘書がいると思い知った瞬間だった。
早坂が記していた田中の教えは実に興味深い。曰く、出来ないことは出来ないとはっきり言わねばならない。ただし、実現に向けて努力はする。出来もしない約束をする人間ほどいかがわしい人物はいない。
ナポレオンは次のように述べた。「約束を守る最上の手段は決して約束をしないことである」『ナポレオン言行録』(岩波文庫)
皮肉のようにも感じるが、事実であろう。出来ないことは出来ないのだ。
石破首相の最大の弱点は自らの過去の言動である。
過去の自分に現在の自分が裁かれている。もっともらしい理屈で晋三元首相を批判してきた。だが、実際に首相になったとき、自らの言葉が自らに突き刺さる。
易に首相が解散権を行使すべきではないと彼は繰り返し述べてきた。現実を見てみよう。
最も安易に解散総選挙を決定し、大敗を喫したのは石破内閣に他ならなかった。「?つき」との批判は免れないだろう。政治は結果責任だ。石破内閣に退陣を勧告する所以(ゆえん)である。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2d558e41823379e96d2955f417aac69e5d82d8ff
引用元: ・【岩田温 (政治学者)】「石破首相は?つき、退陣を勧告する」
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