■日本に戻ったのは春節休暇直前の1月24日
胡教授の突然「失踪」は昨年3月16日、筆者取材による本誌記事でスクープ。2023年8月の夏休みを利用した一時帰国を機に連絡が取れなくなった。その翌月には亜細亜大学の中国人教授も2023年2月中国に一時帰国したまま所在不明となっていることが発覚。相次ぐ日本国内在住の中国知識人の“失踪”劇に、「中国当局による拘束」が疑われ、その背景が様々に取りざたされていた。
約1年半ぶりに日本に戻った胡士雲教授は神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部グローバル・コミュニケーション学科で「中国語の古典と伝統」をはじめ、中国語の初級から応用表現にいたる各コース、ゼミなどを担当してきた。
大学事務局や周辺関係者によると、胡教授は1月24日にひそかに日本の家族のもとに戻り、その後は他大学の教授の勇退パーティなどにも出席していたという。
ただ、一時帰国にもかかわらず長期間戻ってこられなかった事情について胡教授は大学側に対し「何も言えない」としか語っていない。何らかの事情で中国当局に長期間拘束されのち、詳細については口外しないよう釘を刺されたうえで家族が待つ日本への出国が認められたとみられる。
胡教授は健康状態などに変わりはなく、代理の教員によって担当講義の穴を埋めてきた大学では、胡教授の来春からの教壇復帰について3月末までに決断する予定。すでに代理教員による講義計画なども組んでおり、「現時点では明確に回答できないが、限定的な復帰などで対応することになるかもしれない」と説明している。
■学内では「名物教授」
胡教授は丸い顔に大きな体、親しみやすさ、教え方のうまさで学生に人気の名物教授として知られた。1960年中国・江蘇省生まれ。1984年北京大学中国言語文学学科中国語専攻卒。2001年に曁南大学中国言語文学学科博士課程(社会人コース)修了(文学博士)。
中国社会科学院語言文字応用研究所助理研究員を経て1992年に大阪外国語大学中国語学科専任講師、95年に同助教授、99年四天王寺国際仏教大学(のち四天王寺大学に改称)人文社会学部総合学科助教授、2009年に同学部教授となり2015年から新設の神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部の教授に。2021~22年度は同学部長も務めた。
■学外では在日中国人社会の「名士」
関西の華僑、華人らは「何らかの理由で国家安全部(省)に身柄を拘束されたのではないか」としつつも、「胡教授は中国語の方言の研究などが専門。国際政治や近現代史などとは無縁」と、その失踪劇には首を傾げていた。
(略)
■狙いは「総領事か」疑心暗鬼の関西華僑華人ら
中国では2023年7月にスパイ行為の定義が拡大された“改定”反スパイ法が施行され、この方面での当局の取り締まりは一層厳しくなったとされている。「胡士雲教授の日本での何らかの行為が反スパイ法に抵触すると問題視され、当局に拘束されて取り調べを受けているのではないか」との推測が乱れ飛んでいた関西華僑華人団体関係者の間では、「胡氏は無事に戻ってこられてよかった」としつつも、改めて「明日はわが身か」と震撼しているという。
「駐大阪中国総領事館には表に出ていない問題も多い。以前、副総領事が亡命を企てたこともあり、その副総領事と関わった人物の取り調べがいまも続いている。ひょっとして胡氏も関わったのかもしれない」と日本在住歴の長い華僑は声をひそめる。
また「仮に国家安全部(省)が何らかの意図があって胡氏を拘束したのだとしたら、狙いは胡氏そのものではなく、別のターゲットがあって周辺から調べていたのかもしれない。その場合蜜月関係にあった薛剣総領事だった可能性も浮上する」とも。
実際に岡山県の団体トップの拘束では、王毅共産党政治局員兼外相がかつて岡山を訪れた際の講演内容や言動を徹底的にチェックしていたケースもある。薛剣氏は反王毅派閥に連なるとの見方もある。いずれにせよ筆者が2024年10月、胡士雲教授の“失踪”について薛剣氏に直接取材した際の薛剣氏の回答は、「知らない」「わからない」の一点張りだった。
JBpress 2025.3.13
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/87150
引用元: ・スクープ!中国で消息途絶えていた神戸学院大の大物教授、1月にひそかに日本に帰還していた 中国で何があったのか… [3/14] [ばーど★]
そして真相が分かったとしても、それが我々に漏れ聞こえてくることは今後もないだろう
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