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弁護士ドットコムニュース
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4月13日に開幕が迫る大阪・関西万博だが、チケットを購入するために必要な「万博ID」に批判が高まっている。
主催者の博覧会協会では2月25日、「万博ID」を取得しなくても購入できる「簡単来場予約チケット」(仮称)を開幕日から導入すると発表した。しかし、来場日時を変更できなかったり、パビリオンやイベントなどの事前予約は不可となっているため、遠方からの来場者や本格的に万博を楽しもうという来場者にとって、やはり「万博ID」の取得は必要となる。
「万博ID」が批判されている理由の一つが、公式サイトに掲載されている「個人情報保護方針」に同意をしなければ、取得することができないシステムである(2025年3月3日現在)。
しかし、その「個人情報保護方針」には、氏名や生年月日、電話番号だけでなく、「位置情報」「生体情報」「所属先」「医療に関する情報」「SNSのアカウントやパスワード」などが含まれている。
また、「個人情報保護方針」に同意した場合、「外国政府、協賛企業や出展者等に個人情報が提供される場合があります」とも明記されていることから、「自分の個人情報が海外に流出するのではないか」と不安も広がっている。
「万博ID」は日本人だけでなく、海外から訪れる外国人も取得が必要となる。その際、こうした「個人情報保護方針」に問題はないのだろうか。個人情報保護法にくわしい板倉陽一郎弁護士に聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
【この記事に書いてあること】
・「万博ID」を取得する際、「個人情報保護方針」に同意させられる。幅広い個人情報の取得自体に問題はないが、「医療に関する情報」の取得には注意が必要となる。
・「個人情報保護方針」に同意しなければ「万博ID」の取得ができず、チケットも買えないようになっているが、この同意についてもさまざまな法的な問題が含まれている。
・EUや英国、中国など海外の個人情報保護に関するルールに違反している。
●万博の「個人情報保護方針」は違法なのか?
??まず、日本の個人情報保護法では、このような幅広い情報を取得する「個人情報保護方針」を許しているのでしょうか。
個人情報保護方針というのは法令用語ではなく、一般的には、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法または法)において、「公表」(法21条1項等)や「明示」(法21条2項等)、「容易に知り得る状態に置く」(法27条2項)ことが求められている事項をまとめた文書をいうことが多いです。
「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月2日閣議決定、令和4年4月1日一部変更)では、「個人情報取扱事業者等は・・・民間部門ガイドライン及び認定個人情報保護団体の個人情報保護指針等に則し、例えば、プライバシーを含む個人の権利利益を一層保護する観点から、個人情報保護を推進する上での考え方や方針(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメント等)を対外的に明確化するなど、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用について自主的に取り組むことが期待されているところであり、体制の整備等に積極的に取り組んでいくことが求められている」などとされています。
この「基本方針」は閣議決定に過ぎませんので、民間事業者である個人情報取扱事業者への拘束力はありませんが、プライバシーポリシーや個人情報保護方針という名称で、上記の法定公表事項等を含む、個人情報の取扱いについての文書が公表されることは一般的です。今回の公益社団法人2025年日本国際博覧会協会も、個人情報保護方針という形で、法定公表事項等を示しています(万博PP)。
※全文は出典先で
引用元: ・大阪万博チケット購入で個人情報が流出する」不安の声 弁護士は「さまざまな法的問題がある」と批判 [七波羅探題★]
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