今は対立を煽(あお)る時でない。市民も与野党指導者も冷静になり、対話と和解の糸口を探るべきだ。
韓国では、昨年12月の「非常戒厳」以降、保守、進歩(革新)陣営の対立が深刻化している。
今回の事態では、80人以上が拘束された。これほど多くの人が暴力で主張を通そうとしたことを深く憂慮する。尹氏が「平和的な方法で意思表示してほしい」と訴えたのは当然であり、法に基づく厳正な対応を求めたい。
ただ、尹氏の非常戒厳以降の振る舞いは和解とは程遠い。「最後まで闘う」と繰り返し、拘束時には「国の法がすべて崩れた」と司法不信を隠さなかった。尹氏の一連の言動が支持者の暴力的言動を勢いづかせたことは否めない。
野党が勝利した昨年4月の総選挙を巡り、明確な証拠を示さないまま、不正を訴えることに対する反発も大きい。
国会で多数派の野党側にも妥協の姿勢が見られず、憲法裁判所裁判官の任命要求に応じないなどとして、大統領職務代行者の韓悳洙(ハンドクス)首相の弾劾決議案を可決した。最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表は選挙違反関連の裁判を抱えており、憲法裁の審判を有利に進めるための党略と批判されている。
直近の世論調査では、野党の支持率が与党を下回った。強硬姿勢が保守層を結束させ、野党支持層も離れたとも分析されている。民意は分断ではなく対話を求めているのではないか。韓国内で「経済や外交では声を一つにすべきだ」(朝鮮日報電子版)として歩み寄りを求める声も高まっている。
2期目のトランプ米大統領就任を受け、国際関係は転換期を迎えている。北朝鮮はウクライナ侵攻を続けるロシアとの軍事的関係を強化。中国の軍事、経済の動向も不透明で、東アジアの安全保障情勢は不安定感を増している。
韓国内の分断の影響が外交にも及べば、日本も無関係ではいられない。韓国政治と東アジア情勢の安定に向けて、韓国が分断から和解へ歩み出すことを期待したい。
東京新聞 2025年1月21日 08時32分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/380569?rct=editorial
引用元: ・【東京新聞/社説】韓国大統領逮捕 対話と和解の糸口探れ [1/21] [右大臣・大ちゃん之弼★]
大統領の代行の代行とか?
コメント