「コロナワクチンは危ない」という反対運動が展開され、SNSなどで拡散された。これによって、ワクチンに対する不信感や忌避感が強まり、接種率が低調になっている影響と見られている。
果たして、ワクチンに反対する人々の主張は、信用に値するのだろうか?
ワクチン問題に詳しい大阪大学免疫学フロンティア研究センター・宮坂昌之招へい教授の協力を得て、ワクチンに反対する主な主張をファクトチェックした――。
「厚生労働省の職員、出てこい! 人殺し!」 「ワクチン薬害を認めろ!」
2024年12月、厚生労働省が入る中央合同庁舎に向かって、集まった人々が激しい言葉を浴びせていた。その中には、ワクチン接種後に亡くなった人の家族もいる。
騒然とした雰囲気の中、「コロナワクチンが人を殺している」、とプリントされた横断幕が風になびく。ワクチンに反対する抗議活動だった。
「50万人も自国民を殺してるんだよ、お前ら分かってんのか、厚労省!」
こう叫んだのは、コロナ禍で注目されるようになった長尾和宏医師である。なぜ、「50万人を殺した」ということになるのだろうか?
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“50万人の超過死亡はワクチンが原因”という主張について、大阪大学免疫学フロンティア研究センター・宮坂昌之招へい教授は、論理が飛躍していると指摘する。
「ワクチン接種と超過死亡がよく重なったのは、7回の定期接種のうち1回のみでした。“超過死亡説”が本当なら、接種のたびに超過死亡が起きたはずです。
したがって超過死亡はワクチンではなく、新型コロナ感染症によって起きた、と考えるべきでしょう。
中東カタールでは、約700万回のワクチン接種が行われ、138人が接種後30日以内に死亡しました。このうち112人はワクチンとの関連は無し、あるいは可能性が低いと判断されています。世界的にワクチンが原因で死亡する頻度は、100万回接種に数回でした。
ワクチンは決してゼロリスクではありませんが、接種のメリットとデメリットを冷静に判断する事が必要です」
ワクチン接種後、心筋炎が起きるケースが報告されているが、確率は100万回に10回程度で、新型コロナ感染で心筋炎が起きる確率に比べてずっと低いことが分かっている。
ワクチンに関連した死亡者数は2種類ある。1つは医療機関や製薬企業からの副反応疑い報告で、現時点の死亡者数は「2261人」だ(>>2024年10月29日の厚労大臣記者会見)。
このうち「ワクチンと死亡の因果関係が否定できない」と専門家が判断したのは、わずか「2人」のみ。残りは「情報不足で評価できない」ケースが大半を占める。
接種から最大28日間が報告対象なので、ワクチン接種とは関係のない死亡が含まれてしまうのだ。
もう一つが、ワクチン被害救済制度で、国が認定した死亡者数である。厚生労働省の疾病・障害認定審査会によると、2025年1月10日時点で「累計940人」。
認定された人の遺族に、死亡一時金と葬祭料が支給された。ただし、その全ての死因がワクチンと確定したわけではない。「厳密な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象」と厚労省が定めているためだ。
なぜ、ワクチンと死亡の厳密な因果関係を、認定条件にしていないのか。その理由について、宮坂招へい教授は次のように解説する。
「日本人は、剖検(※死因を調べる解剖)に抵抗感が強いので、接種後に亡くなった方の大半が死因を特定できません。だからといって、厳密な因果関係が分からない方を救済対象から排除すると、ワクチン接種に国民が不安を抱くことになります。
実はコロナ禍の前から、日本では心臓病が原因で年間約9万人、1日あたり約250人が突然死していました。コロナワクチンは短期間に国民の約8割が接種したので、たまたま突然死と重なってしまったケースが多いと考えるのが自然です」
https://news.yahoo.co.jp/articles/217c621b1d5b262720743790bdace4971d847b10?page=1
1月を除いて、2024年のほうが、新型コロナでの死亡が明らかに多い。ワクチンに対する忌避感が広まり、接種率が低下したことが影響している可能性が考えられる。
宮坂招へい教授は次のように警鐘を鳴らす。
「新型コロナウイルスの変異によって、ワクチンの感染予防効果は当初よりも低下しました。しかし感染した場合、ワクチンを接種していない人の死亡率は、接種した人よりも数倍高いことが分かっています。ワクチンに反対する医師の大半は、感染症や免疫の専門家ではありません。接種のリスクだけでなく、ベネフィット(恩恵)についても冷静に判断して下さい」
厚労省の予防接種審査分科会
2025年01月15日
新型コロナワクチンを接種した125件について、予防接種と疾病・障害などとの因果関係を審議し、37件を認定
2024/12/25 -新型コロナワクチンを接種した65件について、予防接種と疾病・障害などとの因果関係を審議し、30件を認定
進達受理件数は1万2,697件。うち認定件数は8,720件
関係者が言うには
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