
引用元: ・そりゃウォンも売られるわ…韓国の「腐敗ランキング」順位が当然の結果だった [662593167]
● 進むウォン安、韓国経済の先行き不安 2024年12月、韓国の政治情勢に緊張が走った。3日夜、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突然、「非常戒厳」を宣言した。背景には、尹大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏が関わったとされる複数の事件や、選挙に関する不正行為疑惑などがあったようだ。
その後、14日に韓国の国会は、「非常戒厳宣布は憲法違反」との判断から、「弾劾訴追案」を可決し、大統領は職務停止になった。こうした混乱によって、日米韓の関係や韓国の北朝鮮政策にも変化が出ている。地政学リスクの主たる要因である朝鮮半島情勢の緊迫化など、韓国の政治が不安定になると世界経済に無視できないマイナスの影響が出るだろう。
これまでも韓国では、大統領やその親族と財閥系企業トップなどの癒着が発覚するケースが多かった。ある意味それは、有力者同士が癒着する=縁故資本主義という、韓国の政治体制の象徴といえるかもしれない。
非常戒厳の宣布以降、政策運営が停滞する懸念から韓国経済の不透明感が高まっている。もはや誰が韓国の大統領になっても、政財界の癒着は続き、経済格差が拡大するといった見方もある。そうした見方が有力になると、韓国通貨ウォンの売り圧力は高まる。足元のウォン安はそうした懸念を表しているといえるだろう。
● 「腐敗認識指数」で見る韓国の縁故の状況
韓国では血縁あるいは同窓生など、特定の個人のつながりが政治、社会、経済の運営に無視できない影響を与えることが多い。近年の韓国映画には、公務員と企業の経営者が癒着した話、土地の売買などで不正に私腹を肥やすケースなどを描いたものが多い。
実際に文在寅(ムン・ジェイン)前政権下、一部の政府関係者による土地投機疑惑が明らかになり、支持率が低下する一因になった。文政権下では、経済では対中重視、安全保障は対米依存、外交では北朝鮮融和と対日強硬姿勢のスタンスだった。
検察出身の尹大統領は前政権の方針を修正し、日米との経済、安全保障関係を重視した。しかし、22年の大統領選挙で当選した後、金夫人のスキャンダル報道が相次ぎ、支持率は低下した。尹大統領は自らを守るため、野党の主要人物を拘束する非常戒厳に踏み切った。
最も清潔な状態を意味する100から、最も腐敗していることを示す0までの範囲で採点されている。23年のランキングで1位(最も清潔)はデンマーク(90点、前年から変化なし)で、2位はフィンランド(87点)だった。
トップ10は欧州の国が多いが、5位にシンガポール(83点)がランクイン。日本は16位(73点)で、米国は24位(69点)。そして、韓国は32位(63点)であり、日米欧の主要先進国より低い。
このランキングから示唆されるのは、日米欧などと比べると、韓国では政治・経済の運営に与える特定個人の利害の影響度が高いことだ。それは、今回の非常戒厳にも当てはまるだろう。主要先進国の最高意思決定権者が、立場を守るために戒厳令を実行するのは前代未聞だ。しかし、韓国では実際にそれが起きた。
● 半導体輸出減で韓国の経済環境は軟化 一部の政治家と企業の癒着が続くと、経済社会全体で所得、金融資産の保有割合の格差は拡大する。7~9月期、韓国の経済成長率は前期比で0.1%にとどまった(速報値)。世論は景気への不安を強め、尹政権を批判したと考えられる。その流れで夫人の疑惑追及も激化したのだろう。
もう一つ、韓国経済に懸念されることがある。それは、半導体輸出の伸び悩みだ。1990年代以降、韓国最大の企業であるサムスン電子は、政府の支援を取り付けてDRAMやNAND型フラッシュメモリーなどの量産、低価格輸出体制を確立した。
リーマンショック後、スマホの世界的な普及で半導体需要が増加すると、韓国の半導体輸出は増加し経済は成長した。これにより、国内の飲食や宿泊などのサービス業も堅調だった。半導体輸出が景気の緩やかな回復を実現する環境下、政財界の癒着などの問題は表面化しづらかった。
ところが23年、状況は一変した。重要な輸出品目である半導体など電子部品の割合が、自動車関連部門に抜かれたのだ。22年11月末、米オープンAIがChatGPTをローンチしたのをきっかけに、世界的にAI関連チップの需要は急増。韓国のSKハイニックスはAI分野の需要を取り込み、業績を回復させた。
一方で、世界最大のメモリー半導体メーカーであるサムスン電子の対応は遅れた。労働組合によるストライキも発生した。スマホ、デジタル家電、半導体と複数の事業を運営するコングロマリット体制が、AI分野への集中を難しくした側面は否めない。
他方、現代自動車や車載用バッテリー大手のLGエナジーソリューションなどは、電気自動車(EV)分野で生産能力を拡充し、大量生産して輸出する体制を確立した。ただし、中国政府の支援を受けたBYDやCATLなどの値下げ攻勢が激化し、米欧でEVシフトは鈍化している。韓国経済がEV関連産業を育成し輸出競争力を高めることは難しいだろう。
● 先行き懸念を反映したウォン下落 非常戒厳の宣布、大統領の弾劾訴追案可決が、ウォン安に多大な影響を及ぼしている。12月20日までの1カ月程度の間、ウォンの対ドルの下落率は円を上回った。非常戒厳の宣布で、一部の投資家は韓国からの資金逃避の増加に身構えたほどだ。
12月3日の非常戒厳の発表直後、韓国銀行(中央銀行)は急激な海外への資金流出に対して備えていたようだ。コロナショックで世界経済がまひした時も、韓国は急激なドル資金の流出に見舞われ、米連邦準備制度理事会(FRB)によるドル資金供与で窮状を脱した。
今後しばらく、政治不安を背景に、韓国から海外に流出する資金は増えるだろう。報道によると、非常戒厳宣布後の12月6日時点で、韓国国内のクレジットカード利用額は前週から26.3%も減少したそうだ。首都ソウルの減少率は同29.3%だった。非常戒厳はまさしく、経済に打撃を与えたのである。
中国経済の減速や米国の関税政策などもあり、韓国の輸出は伸び悩んでいる。それに加えて国政がここまで不安定になると、内需は冷え込み、雇用・所得環境が悪化するリスクも高まる。こうしたことも、ウォンの売り材料になる。
アジア通貨危機、リーマンショック、コロナショックと、韓国は経済不安が高まった時、基本的には日米などからの資金供与によって窮状をしのいできた。不確定な要素は多いが、当面、韓国の政策運営の迷走は避けられないだろう。
今後、革新派の政治家が大統領に就任して、経済での対中重視、外交での対北宥和(ゆうわ)、対日批判の政策方針に“戻る”可能性もある。そうなると、対中強硬姿勢を取る米トランプ政権と韓国の関係は冷えこむだろう。
加えて、北朝鮮が軍事挑発を増やす恐れもある。朝鮮半島情勢の緊迫化は韓国のみならず日本、そして世界経済にもマイナスだ。非常戒厳宣布後のウォン安は、そうした展開を警戒する主要投資家が増えていることを示唆している。
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