では、今冬のコロナの流行に対して、我々はどのような対応をすればいいだろう。最新研究の成果を踏まえてご紹介したい。
コロナ感染の問題は、死亡者数が多いことだけではない。後遺症に悩む人が多いことも問題だ。
7月、アメリカのセントルイス退役軍人研究教育財団とワシントン大学の研究チームが、『ニューイングランド医学誌』に発表した研究によると、オミクロン株流行下でのコロナ後遺症の発症頻度は、感染者の7.8%だった。
これは流行当初の10.4%、デルタ株の9.5%よりは低い。だが、アメリカでは全成人の7%、全小児の1%がコロナ後遺症を患っているという。
XEC株もオミクロン株の亜種だ。多くの感染者が後遺症に苦しむ可能性は捨てきれない。
世界では、コロナ後遺症に関する議論が盛り上がっている。7月24日、『ニューイングランド医学誌』は「ロングCOVID(コロナ後遺症)を定義する」という論文を掲載した。
この論文では、「コロナ感染から3カ月以上にわたって息切れや咳、疲労感、記憶障害、頭痛、集中力の低下、めまい、頻脈、睡眠障害、味覚・嗅覚障害、便秘・下痢などが表れる場合をコロナ後遺症」と定義した。
コロナ後遺症は、軽症や無症状感染でも起こることがあり、発症は感染後すぐの場合もあれば、数週間から数カ月後に顕在化することもある。症状は軽症から重度までさまざまだが、再発・寛解を繰り返す人が多い。
筆者の外来にも、コロナ後遺症を患っている患者さんが大勢来ている。80代の女性はコロナ感染後に咳や痰、息切れ、全身倦怠感が続き、そのまま寝たきりとなり、1年ほど後に亡くなった。亡くならないまでも、体調不良が続く人は珍しくない。
一方で、コロナ後遺症の問題については、この1年間で、随分と理解が深まってきている。
コロナは、普通の風邪のように短期間で体内から排除されず、長期感染することがある。これが後遺症と関係すると見られているのだ。
2月21日、オックスフォード大学を中心とした研究チームが『ネイチャー』誌に発表した論文によれば、3603人の感染者のうち、381人(10.6%)に1カ月以上経っても発症時と同じ量のコロナウイルスが確認され、そのうち54人(1.5%)は2カ月以上後にもウイルスが確認されていた。
コロナが1カ月以上陽性だった人の後遺症発症率は、1カ月以内に陰性化した人と比べて、55%高かった。すべての後遺症がそうだとはいえないが、長期感染がコロナ後遺症の発症に寄与している可能性が高い。
筆者がもっとも驚いたのは、後遺症の認知機能への影響だ。
インペリアルカレッジ・ロンドンを中心とした研究チームが、2月29日に『ニューイングランド医学誌』に発表した研究によれば、コロナ感染で認知機能が低下するケースが認められている。
症状が4週間以内に消失した人でも知能指数(IQ)が3点程度低下し、3カ月以上続いた場合では6点も下がっていた。集中治療室に入った場合の低下は9点だ。
『ニューイングランド医学誌』編集部は2月29日号で、「ロングCOVIDと認知機能障害については、もっとエビデンスと研究が必要だ」という見解を掲載し、この問題の重要性を強調した。
長期感染については4月18日、アメリカ科学振興協会(AAAS)が発行する科学ニュースリリース配信プラットフォーム「EurekAlert!」に、613日間、感染が継続した72才の免疫不全の男性のケースが紹介された。
7月3日にはまた、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが、感染から約2年が経過したコロナ後遺症患者の腸から複製可能(生きていることを意味する)なコロナウイルスRNAを検出したと報告した。
コロナは単純な風邪とは違う。たとえウイルスが消えても、免疫異常は長期にわたって続く。このような状態は、さまざまな合併症を引き起こす。
https://news.yahoo.co.jp/articles/75990b55120d7b988ee552629aa61021af085f14
【上昌広】 2023~24年の冬にコロナワクチンを接種していない人は、再接種を・・・新型コロナ感染死者数、人口10万人あたりは、インフルエンザの16倍、熱中症の188倍 ★3
https://talk.jp/boards/newsplus/1723294226
引用元: ・【上昌広】コロナワクチンは最終接種から間隔があくと、感染予防だけでなく重症化の予防効果も低減する、高齢者だけでは不十分、乳幼児や60歳未満でも病を抱えている人、その家族は接種することを勧めたい
コロナ感染者は非感染者と比べて、ある自己免疫性疾患の発症リスクが、1.25倍増加すると『アメリカ内科学会誌』で報告した。リスクは、感染が重症で長期化するほど上がるという。
1月には韓国の全北大学校医科大学の研究チームが、コロナ感染者は円形脱毛症のリスクが1.82倍高まるとの報告を『アメリカ医師会誌(JAMA)皮膚科版』で発表した。
円形脱毛症は典型的な免疫疾患だ。コロナ感染に伴って増えてもおかしくない。
話をコロナ後遺症に戻そう。
長期感染が関係しているのなら、治療薬が有効かもしれない。この問題についても、いくつかの研究が発表されている。
1月4日、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが、『臨床ウイルス学雑誌』に発表したコロナ感染者4684人を対象とした研究によれば、
治療薬パキロビッドを服用した988人と服用しなかった3696人を比較したところ、後遺症の発症率は16%と14%で大差なかった。
同様の研究成果は、スタンフォード大学を中心とした研究チームからも報告されている。治療薬で後遺症を予防することは難しそうだ。
ワクチンはどうだろうか。こちらは有望そうだ。これまでの研究で、後遺症のリスクを大幅に下げることがわかっている。
前述したセントルイス退役軍人研究教育財団らの研究チームが行った研究では、ワクチンを打っていない人と比べて、デルタ株では44%、オミクロン株では55%後遺症の発症を減らしていた。
1月11日、オックスフォード大学が『ランセット呼吸器内科版』に発表した研究でも、イギリス、スペイン、エストニアの約2000万人のデータを解析したところ、ワクチン接種により後遺症の発症頻度が30~50%程度減少していたことがわかった。
では、何回、ワクチンを打てばいいのか。
11月24日、中国人民解放軍空軍医療センターの研究チームが、コロナに罹患した透析患者115人を対象とした研究を『国際泌尿器腎臓病学雑誌』に発表。
それによれば、60人(52.2%)が後遺症を発症していたが、そのリスクは3回以上のワクチン接種で90%低減していた。
多くの日本人は3回以上、コロナワクチンを接種しているが、今冬、追加接種を受けるべきか。
この問題について、今はまだ明確なエビデンスを提供できない。参考になるのは2月10日、イギリスのエジンバラ大学を中心とした研究チームが『ランセット』誌に報告したものだ。
彼らはイギリスのワクチン接種データベースに登録された約6820万人のデータを用いて、ワクチン接種回数と重症化の関係を調べた。
その結果、4回以上は約3880万人(57%)、3回以下は約2940万人(43%)だったが、4回以上と比べて、3回以下は重症化するリスクが高かった。特に75歳以上の高齢者でその傾向が強く、4回以上と比べて未接種で3.1倍、3回接種で2.7倍高かった。
この研究結果を解釈すると、2つの可能性が考えられる。1つめは「高齢者は4回以上の接種が必要である」という可能性、2つめは「最終接種から間隔があくと、感染予防だけでなく、重症化の予防効果も低減する」という可能性だ。
アメリカ疾病対策センター(CDC)は、6月27日、今冬の流行に備えて、「生後半年以上に対し、コロナワクチンの追加接種」を推奨した。これが世界の医学界の、現時点でのコンセンサスと考えていいだろう。
日本は公費接種の対象は65歳以上か、60~64歳で基礎疾患を有する人に限定される。これでは不十分だ。
高齢者はもちろんだが、少なくとも、乳幼児や60歳未満でも病を抱えている人、そしてその家族は、今冬の流行に備えてワクチンを接種することを勧めたい。
コロナは未解明な点が多い感染症で、死亡、後遺症のいずれも看過できるものではないからだ。
上 昌広 :医療ガバナンス研究所理事長
60歳以下はインフルエンザと致死率変わらんし、
後遺症は波を経るごとにどんどん減ってるよな?
コロナはええから指定難病とか研究しろや!
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