「オオタニが映ったらチャンネルを変えるよ」大谷翔平が消えた“エンゼルスの今”…40年超のエンゼルスファンが語った“怒り”「恋人を奪われた気持ちだ」球団ワースト記録の99敗を喫したエンゼルス(写真は今季指揮したワシントン監督)。筆者は現地アナハイムを訪れた
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大谷翔平が移籍した後、今季のエンゼルスは99敗を喫した。球団ワースト記録での最下位だ。そんな厳しい状況を番記者、
そしてエンゼルスファンはどう見たのか。NumberWebの記者が現地アナハイムを訪ね、取材した「エンゼルスの今」。
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45年のエンゼルスファンが語った“怒り”
<エンゼルスファンの本心に俄然興味が湧いてきた。何人かにコンタクトを取ると、一人の熱烈なエンゼルスファンが取材を承諾してくれた。>
2004年からファンサイト「AngelsWin.com」を運営するチャック・リヒター氏(54歳)である。父の影響で少年時代から
エンゼルスの虜になった、その道45年のファン。「私が話す言葉は長年のエンゼルスファンの総意と思ってもらって、まず間違いない」。
どうやら、言いたいことが山ほど溜まっているようだ。
大谷がエンゼルスを去ってから1年が経った。今、「ドジャースのオオタニ」をどんな心境で見つめているのだろうか。
「私たちはオオタニを愛していた。なぜなら彼は2017年、ヤンキースでもジャイアンツでも、ほかのどの金持ちチームでもなく、
私たちを選んでくれたからだ。その彼が、チームを去った。エンゼルスファンの99.9%を代表して私が言えるのは、移籍が決まったとき、
とても落ち込んだ。悲しみ、落ち込み、苛立ち、そして怒り……。もちろん、怒りの矛先がオオタニに向いているわけではない。
エンゼルスのオーナーシップに対してのものだ。そして最悪なことに、彼はドジャースに行ってしまったんだ。
もし他のチームだったら彼に対する思いも違っただろう。でもオオタニは今、同じ町で青いユニフォームを着ている」
https://news.yahoo.co.jp/articles/8de5cbac328cd326946c807c434f57b695613c3c?page=1
引用元: ・WS進出に沸く裏で…かつて大谷翔平が在籍したエンゼルスの悲惨な現在『大谷が映ればチャンネル変える』 [784885787]
「オオタニが映ったらチャンネルを変える」 なぜそれほどまでにドジャースを敵視するのだろうか。エンゼルスが低迷している間、ドジャースが長く成功し続けている事実が大きいのか。
「その理由は根深いんだ。たとえば、私が子どもだった頃、夜にニュースを見るわけだ。10時からはじまる1時間番組で、
楽しみにしていたのは10時40分から5分ほど流れるスポーツニュースさ。そこで、だ。ドジャースと(NBAの)レイカーズについての
情報は毎日流れるのに、エンゼルスのハイライトは最後まで放送されない。結果をおまけ程度に伝えるだけ。新聞もそう。
レイカーズとドジャースは一面なのに、対してエンゼルスは後ろのページ。それも見落としてしまいそうなほど小さいサイズだ。
エンゼルスが強かった時代でさえメディアでの扱われ方は小さかった。
つまり、私たちエンゼルスファンは“爪弾き者”として育ったんだよ。そんな環境にいたら、ドジャースを好きになれないのも当然だろう?」
今季メジャーリーグのポストシーズンで、リーグ優勝決定シリーズに進出した4チームのうち、
ヤンキース、ドジャース、メッツの3チームはメジャー球団の年俸総額の上位チームである。
ドジャースに対する反感の中には、持たざる者の思いも含まれているようだ。
「ドジャースとヤンキースは似ているよね。お金持ち球団で欲しい選手を次から次に獲得できるのだから」
加えて、今年は大谷がドジャースで活躍しているという複雑な状況だ。昨年まで“うちのチームにいた”
背番号17が、ドジャースのチームメイトからハグされている。ファンから大歓声を浴びている。
その光景が古参のエンゼルスファンを憂鬱にさせた。
「オオタニがテレビに映ったら別のチャンネルに替えるよ。見られるわけない。ため息も出るさ。
ああ、エンゼルスのオオタニでポストシーズンを戦ってほしかった、と。どれだけ負け続けても、
チームに不平を言っても、それを乗り越えて優勝すれば、喜びは格別なものになる。
2002年のワールドチャンピオンもそうだった。そこに向けて一緒にやりたかったよ」
「元恋人が悪いヤツと付き合っている」 チャック氏の口調が徐々に熱を帯びてくる。「この気持ち、何て表現すればいいかな……」。しばし黙考したのちに、こう続けた。
「思いを寄せていた人、あるいは未練ある元恋人がいたとして、その人が本当に我慢のならない、
悪いヤツと付き合うことになった……その交際シーンを目前で見せつけられているような心境だよ。
もちろんカジュアルなファンは昨年までと変わらずにオオタニを応援するかもしれない。
だけどチームのためにお金と時間を費やしてきた長年のファンとしては、彼を心から応援することはできないんだよ」
ポストシーズンでどのチームを応援するのか尋ねると即答だった。
「簡単だよ。パドレスを応援していたし、今はメッツだ。オオタニは打ってもいいさ。だけど、
彼のチームが勝つというのだけは勘弁してほしいな」
チャック氏を取材した10月16日は、ドジャースとメッツのリーグ優勝決定シリーズ第3戦があった。
8回表にライトスタンドへ、大谷が特大3ランホームランを放ったゲームである。ニューヨークの夜空に、
勝敗の行方を決定づけるムーンショットが放たれた瞬間――チャック氏の、長年のエンゼルスファンの、
やり場のないため息が聞こえてくるようだった。
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