「迫害や深刻な被害の現実的なリスクに相当するとはいえない」
迫害を受ける「受難の民」か、あるいは違法行為を繰り返す「不法滞在者」か。埼玉・川口市に集住するクルド人についての見方は巷間で相反している。この春、トルコで現地調査を行った難民問題の第一人者・滝澤三郎氏が、この問題の深層を詳らかにした。【前後編の後編】
(取材・構成=ノンフィクション作家 西牟田靖)
前編【「僕自身がクルド人だが、トルコで迫害はない」 川口市に集まるクルド人は本当に難民なのか? 「マスメディアの報道は現実と乖離」】では、トルコ人への取材から、日本のマスメディアが報道している内容が実態に即していない問題について報じた。
こうして実際のクルド人に話を聞いてみても、トルコではクルド人だからという特性だけで迫害されるといった主張は、事実に反し、根拠がないといえます。ちなみにトルコは350万人ものシリア難民を受け入れていますが、その大部分がクルド人なのです。
差別はあるでしょうが、難民条約に抵触するような「迫害」には至らない例がほとんどであるといえます。
実際、イギリスやオーストラリア、アメリカなど各国が出している「出身国情報」を見ても同じ趣旨のことが述べられています。これは難民認定の際、難民かどうかの判断の材料として用いられるもので、その国の外務省だけではなく、アムネスティやHRWなどの人権団体の報告も含めた、極めて信頼性の高いもの。
イギリス外務省のそれによるとこうあります。
「一般的に言って、クルド人が直面するいかなる差別も、その性質や繰り返し、累積性を考慮したとしても、迫害や深刻な被害の現実的なリスクに相当するとはいえない」
「クルド人がその民族性だけで国家から迫害の『根拠ある恐怖』を立証できる可能性は低い。クルド人という民族性にのみ基づく難民申請は、『明らかに根拠がない』と判断される可能性が高い」
「弟は難民なんかじゃない。移民だ」
では、なぜそうしたクルド人が日本まで来て、自身を「難民」と主張するのか。
背景にはトルコの経済事情があります。トルコではここ最近、50%以上のインフレが毎年続いており、生活が苦しい上、昨年、南東部では大地震の被害がありました。そうした経済的困難の中で、既に外国にいる親族や知人を頼った移民が増えています。
彼らは、かつては欧州諸国へ出る例が多かったのですが、最近は入国規制が厳しく、今はカナダを目指す例が多い。非合法移住を助ける密航業者のネットワークが張り巡らされており、密航業者は偽造文書も準備し、綿密な手配で目的国まで届けています。
ちなみに、前編【「僕自身がクルド人だが、トルコで迫害はない」 川口市に集まるクルド人は本当に難民なのか? 「マスメディアの報道は現実と乖離」】に登場したアレヴィー派の男性の弟はそのような方法でカナダに渡り難民認定を受けました。男性は「弟は難民なんかじゃない。移民だ」と言っていました。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/10150558/
次ページ:就労と家族統合が主たる目的というのが実情
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/10150559/?all=1&page=2
(中略)
滝澤三郎(たきざわさぶろう)
東洋英和女学院大学名誉教授。1948年、長野県生まれ。東京都立大学大学院修了後、法務省に入省。以後、国連ジュネーブ本部やUNRWAなどに勤務し、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)では駐日代表等も務める。東洋英和女学院大学の教授を経て、現在は名誉教授。
週刊新潮 2024年10月10日号掲載
特別読物「彼らは可哀想な『難民』ではない 埼玉・川口市『クルド人問題』の深層」より
※全文はソースで。、
引用元: ・川口市のクルド人の来日目的は「就労と家族統合」 クルド人自身が「弟は難民じゃなくて移民」 [少考さん★]
日本のマスコミ的には難民と言った方が都合がいいからだよ
コメント