特集『自民総裁選2024政策を問う!』の本稿では、「賃上げ」と「労働者の保護」を両立させる労働市場改革の考え方を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
――自民党総裁選挙で、解雇規制の見直しを掲げています。小泉純一郎政権が派遣労働の対象を製造業に拡大したこともあり、「労働者のデメリットになるのでは」といった懸念の声があります。
労働市場改革を打ち出すと懸念が広がりやすいので、政治は真正面から向き合ってきませんでした。実際に、私が解雇規制の見直しを言い出すと、メディアは「規制の緩和」と書きました。ひどいところは「解雇の自由化」という言葉を使いました。
政治は(批判されやすい)解雇規制の見直しを避け、外側の改革をやってきました。晋三政権の「ホワイトカラーエグゼンプション(労働時間規制の適用除外)制度」の導入、岸田文雄政権のリスキリング支援の強化――などです。
しかし、先進国で日本だけ賃金が上がらない。その最大の要因は、労働市場改革に真正面から向き合ってこなかったからではないでしょうか。
(解雇規制の見直しを打ち出してから)いろんな反応が出ていますが、私は説明を尽くしながら、少しずつ理解してもらい始めたと思っています。例えば、産経新聞の世論調査でこれに「どちらかといえば賛成」を合わせれば約6割が賛成。朝日新聞の調査では、18~29歳の若者に限ってみれば6割が賛成でした。
私には、「労働市場改革が不可欠だ」「自分らしい働き方、多様な働き方ができるルールを作らなければいけない」といったメッセージが届き始めており、心強いと思っています。今後もしっかり(自分の考えを国民に)届けていきたいです。
―― 一方で、人手不足の時代になったので、解雇規制の緩和が昔ほど労働市場の流動化につながらないという見方もあります。小泉さんは、大企業が100人を整理解雇しなければいけないケースで、現行の規制だと40人は社内の配置転換となり、残り60人は今のままだと解雇だ」と説明しています。
それは、あくまで分かりやすいように単純化した一例です。そもそもこの話は整理解雇のケースです。これは、企業の業績が相当に悪化している場合になります。
これまで企業は(余剰人員の100人中40人は)異動で対応し、配置転換が難しい人は解雇され、失業せざるを得ませんでした。
企業が整理解雇をする際の4要件の2つ目に「解雇を回避するための努力義務を履行すること」があります(具体的には、解雇回避努力として現状、労働者の配置転換や希望退職者の募集などを行うことが義務付けられている)。
私は、解雇回避努力義務の履行に、リスキリングと再就職支援を位置付けます。制度設計次第ですが、次の仕事を見つけるまでの生活支援も(義務に含めることが)あり得る。このように時代に合った形にルールをバージョンアップしようと考えているのです。
この改革で(労働者は)自分に合う企業とマッチングしやすくなるし、働く人の保護は今までより強まるのです。そこをきちんと伝えていきたいです。
(社員のキャリアを支援するなどして)働く人ときちんと向き合っているかどうかが、企業の価値の評価にもつながると思います。
――かつては、社内で配置転換されても、異動先ではやりたい仕事ができないケースが多かったと思います。
それはサイロ型の閉じた、内部の労働市場だけでやっていたからですよね。
――労働者の一部にも、大企業に勤め続けることにこだわる意識がありました。
今は、失業率が高くて心配だという時代ではなく、仕事はあるが、人がいない時代で、前提が変わっています。
外部の労働市場、つまり転職市場が育ってきている。成長産業が人を求めている中で、今までのサイロ型の発想ではなく、労働市場全体で見て、(労働者の需給を)きちんとつないでいこうという考え方です。
https://diamond.jp/articles/-/350867#:~:text=%E8%A7%A3%E9%9B%87%E8%A6%8F%E5%88%B6
引用元: ・【小泉進次郎・週刊ダイヤモンドインタビュー】解雇規制の見直しへの批判に「労働者のメリットになる」 「若者6割の支持を得ている」と総反論!
同い年ですから
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