台北の繁華街・中山に、「免っがわ来じっ套」という文字が書かれたTシャツを着た若者がいた。平仮名に漢字が混ざっているが、
日本人観光客も「なんて意味?」ときょとんとしている。顔にはてなマークを浮かべるのも無理はない。
これは台湾生まれの「偽日本語」なのだから。
読み方は「めんがわらいじっとう」。漢字には台湾語の読み方を当てる。日本語では「もうその手には乗らないよ」という意味になる。
台湾では近年、台湾語に日本語をミックスした言葉が一部でブームになっている。この他にも、
「安ね欸さい」(あねえーさい=それでいい)や「りかわ??」(りかわでゃむでゃむ=だまれ)、
「ばど妖ら」(ばどやおうら=おなかがすいた)、 「但じれ」(だんじれ=ちょっと待って)など、造語が次々と生まれている。
ネットミーム画像からラインスタンプまで至る所で使われるようになっており、ユーチューブやバラエティー番組では日本人ゲストと楽しむ
ゲームにもなっている。
「この言葉遊びは少なくとも平仮名を学んだ人にしか分かりません」。日本語教育に従事して20年以上になる政治大学日本語学科の
林士鈞兼任講師は「これは小さなかいわいの人が自分たちで楽しんでいるだけですが、台湾では内輪の楽しみにしても量が
多すぎるのです」と笑う。統計によれば、日本語能力試験の全世界の受験者60万人の10分の1を台湾人が占め、
台湾の大学の3校に1校に日本語学科がある。
▽ 変化した日本語、台湾社会に溶け込む
台湾のユーチューバーの中には、食事シーンの撮影時、日本語で「いただきます」と言ってから食べ始める人も少なくない。
それは日本語がしゃべれなくてもだ。
林さんによれば、台湾では1990年代にブームを巻き起こしたドラマ「東京ラブストーリー」や「101回目のプロポーズ」をきっかけに
日本語学習熱が高まった。林さんの高校時代にはクラスメートが「そうですね」「そっか」などの日本語をしょっちゅう口にしていた
という。
台湾人にとって日本語は見知らぬ言語ではない。日常生活に溶け込みすぎて「これは日本語だったのか」と後で驚くこともある。
台湾には日本に植民地統治をされた歴史がある。家庭でも年配者がいくらかの日本語を話せたり、日本式の教育を受けていたりする。
当時、人々が最もよく使用していた台湾語にも数多くの日本語の単語が溶け込み、現代まで伝わっている。
例えば、タクシー運転手を台湾語では「運将」と呼ぶ。読み方は「うんじゃん」。日本語の「運ちゃん」が語源だ。
トイレは「べんそー」。日本語の「便所」から来た。万年筆は台湾語では「萬年筆」と言う。発音は異なるものの、
漢字は日本語の「万年筆」と同じだ。
▽日本語からの借用 清の時代にさかのぼる
日本語から語彙(ごい)を借用するという現象は、清朝時代にまで歴史をさかのぼることができると林さんは説明する。
明治維新(1868年)以降、日本は西洋の技術や制度を大量に学び、学者は積極的に外来語を漢字に翻訳した。後に、日本に留学した多くの
中国のエリートもまた、すでに日本語に翻訳された漢字を使うようになった。「政治」や「経済」「文化」「自由」「芸術」などがそれだ。
中華民国暦(紀元は1912年)が始まると、造語色の強い「和製漢語」が生活の中で広く使われるようになった。「〇〇主義」や
「◯◯化」「◯型」「◯◯力」などだ。その現象は今でも続いている。例えば「少子化」や「高齢化」などの日本語由来の語彙は報道や
社会問題などの話題でよく使われる。
林さんは、日本語由来の語彙は、中国語では簡潔に表現しにくかったり、直接的に表現するのがためらわれる言葉に使われると指摘する。
「違和感」や「素人」「宅男」(オタクの男性を指す)などがそうだ。「実は私たちの言語は語彙不足なので新しいものが必要なのです」。
▽平仮名で台湾語を学習 文筆家・栖来ひかりさん
ー後略ー
(葉冠吟/編集:名切千絵)
全文はソースから
2024/09/03 17:59
https://japan.focustaiwan.tw/column/202409035003
引用元: ・【台湾】 一見日本語?でも日本語にあらず “台日ミックス語”が台湾でブームじわり [9/4] [仮面ウニダー★]
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