東京と茨城、栃木は「把握せず」、神奈川は11人などと回答。市民団体や研究者らが各地で積み上げた調査が生かされず、
識者は「事態を把握しようとの姿勢が見られず、行政の役割を果たしていない」と批判する。(石原真樹)
関東大震災での朝鮮人虐殺 1923年9月1日の発生直後の混乱の中「朝鮮人が暴動を起こす」などの流言をきっかけに「自警団」や軍、
警察が朝鮮人を殺害。中国人や社会主義の日本人も犠牲になった。
政府中央防災会議の報告書は震災の死者・行方不明者約10万5000人の「1~数%」が虐殺犠牲者と推計し、これは千~数千人規模に当たる。
東京都のほか神奈川や千葉、埼玉県など現場は広範囲に及んだ。
◆死者数「都は調査していない」
「把握していない」と回答した東京。国の官庁記録に死者数などの記載もあるが、担当者は「あくまで国が把握した内容で、
都は調査していない」と話した。
政府が当時調査しておらず、正確な犠牲者数は分からない。専修大の田中正敬教授(朝鮮近現代史)は「虐殺については政府や都も
史料を保存している」と指摘。「都の回答はこれまでの調査研究を無視し、看過できない。過去から学ぶために、ちゃんと調査すべきだ」
と批判した。
◆神奈川、昨年の報告書では145人だが
神奈川は計11人(一部不明)と回答。昨年9月、県が内務省に報告したとみられる文書「震災ニ伴フ朝鮮人並ニ中国人ニ関スル犯罪
及保護状況其他調査ノ件」の存在を市民団体が公表し、県内で145人が殺害されたと指摘したが、反映していない。
団体の山本すみ子代表は「公表後に県に話し合いを申し入れた。国が動かないことを理由に拒まれた」とし、
横浜市に調査を交渉しているという。
https://www.tokyo-np.co.jp/article_photo/list?article_id=351549&pid=1582952
把握している虐殺被害者の人数
群馬は、自警団らが藤岡市の警察署に保護された朝鮮人17人を虐殺した「藤岡事件」のみを挙げた。倉賀野町(現高崎市)では
9月4日、駐在所に保護された朝鮮人男性が殺される事件があり、判決文の原本を確認した立憲民主党の石垣のり子議員が今年4月に
国会で取り上げている。
◆栃木・茨城にも史料、「さらに研究必要」と指摘
栃木では、国立歴史民俗博物館の樋浦郷子准教授(教育史)によると、史料「日本の歴代知事」で当時の山脇春樹知事のページに
「朝鮮人5名殺され」とある。茨城は、虐殺を報じた地元紙を調査した書籍「関東大震災の禍根―茨城・千葉の朝鮮人虐殺事件―」があり、
田中教授は「さらなる研究が必要」と指摘した。
東京新聞は「県や都内で殺害された人数や場所、加害者が誰だったのかなど把握している内容」を取材。
6県には虐殺への知事の受け止めなども質問した。
◇
◆自治体が自ら調べ、政府に報告する義務がある
関東大震災当時の朝鮮人虐殺を取材した、ノンフィクションライターの安田浩一さんの話
東京都などの回答からは、事態を把握しようとの姿勢が見られず、行政の役割を果たしていない。歴史に対する冒?(ぼうとく)だ。
完全に把握することは難しくても、東京には数多くの証言が残っており、都が虐殺に向き合うために調査する姿勢が大事だ。
「記録がないと政府が言うから、ない」とは本末転倒で、自治体が自ら調べて政府に報告する義務がある。
各地で行われている市民による調査は、本来は行政がやるべき作業だ。
2024年9月1日 19時47分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/351549
引用元: ・【東京新聞】 関東大震災時の朝鮮人虐殺、東京・茨城・栃木は「把握せず」 1都6県調査に識者は「行政の役割果たしてない」 [9/2] [仮面ウニダー★]
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