夫婦の片方だけが幸せそうだったり、逆に辛そうだったりするケースもよく見かけます。では、結婚は本当に人を幸せにするのでしょうか。男性と女性で違いはあるのでしょうか。
最近、カナダのトロント大学(University of Toronto)に所属するメイベル・ホー氏らは、中年以上のカナダ人を追跡した研究により、結婚した男性は未婚の男性と比べて、健やかに年を重ね、健康的で幸せを感じる可能性が2倍も高いと報告しました。
一方で女性の場合は、既婚と未婚の間に大きな差が生じませんでした。
研究の詳細は、2024年8月21日付の学術誌『International Social Work』に掲載されました。
厚生労働省によると、日本における「50歳時の未婚割合」は年々高くなっており、2020年では、男性が約28%、女性は約18%でした。
1980年の未婚割合が、男性2.6%、女性4.5%だったことを考えると、数十年の間に生涯独身でいる人の割合が急増したことが分かります。
これには、結婚に対する価値観やライフスタイルの変化や、男女における経済的格差が小さくなったことが影響していると考えられます。
結婚は、「しなければいけないこと」から、「選択するもの」へと変化してきたのかもしれません。だからこそ、「結婚をすることで人は幸せになるのか」という疑問を多くの人が抱くようになりました。
結婚後の幸せを測る尺度は様々ですが、今回ホー氏ら研究チームは、「身体的・精神的健康と幸福感の伴った老化」に焦点を当てました。
通常、老化によって人の健康状態は悪化するものです。しかし、人によってはストレスや生活上のトラブルによって、同世代の人々よりも健康状態が悪化したり、幸福感が薄くなったりします。
研究チームは、結婚がこの老化のパターンにどのように影響を与えるのか興味を持ち、調べることにしました。つまり、「健やかに年を重ねているか」という観点で未婚の人と既婚の人を比べたのです。
ホー氏らの研究では、「加齢に関するカナダ縦断的研究(CLSA)」の2011~2018年のデータが使用されました。
対象となったのは中年以上のカナダ人7641人(男性3926人、女性3715人)であり、それぞれの対象者を約3年間にわたって追跡しました。
その間で、身体的・精神的健康、幸福だと感じているか、社会的な繋がりがあるか、といった要素を調べ、彼らが健やかに年を重ねることができているか分析しました。
分析の結果、既婚男性(調査期間中に結婚した男性を含む)は、未婚の男性に比べて、健やかに年を重ねる(健康的で幸福度が高い)確率が2倍も高いと分かりました。
全ての人がそうだとは言えませんが、全体的に、男性は結婚したほうが幸せになる可能性が高いのです。一方、女性では既婚と未婚の間に大きな差は見られませんでした。つまり女性の場合は、結婚したからといって独身の時より幸せになるとは限らず、逆に「独身を貫いた方が幸せだ」とも言い切れないようです。
ただし、未婚の女性と調査期間中に夫と死別または離婚した女性を比べた場合では、未婚の方が健やかに年を重ねることができていました。
死別や離婚は大きなストレスを与える出来事なので、この結果は納得できるものです。
これらの統計的な結果をまとめると、「結婚は男性を健康で幸福にするが、女性ではその影響は見られない」と言えるかもしれません。
https://nazology.net/archives/158922
結婚は、年齢を重ねるにつれて男性の健康と幸福度を最適にすることに強く関連している
https://www.eurekalert.org/news-releases/1055189
女性の場合、結婚と最適な老化の間に関連性は見られなかったが、未亡人や離婚した高齢女性は未婚の女性よりも悪い結果となった。
引用元: ・【カナダのトロント大学研究】男性は結婚したほうが幸せになる可能性が高い、結婚した男性は未婚の男性と比べて、健やかに年を重ね、健康的で幸せを感じる可能性が2倍も高い・・・女性は大きな差は見られない
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