2011年3月の東京電力福島第1原発事故を官房長官として対応した枝野氏にとって、脱原発は思い入れのある政策。20年9月、現在の立民結党時の綱領に「原発ゼロ社会の一日も早い実現」を明記し、連合傘下の電力総連出身の旧国民民主党議員らが立民との合流を見送る要因となった。
連合はその後も立民に「原発ゼロ」の表現を使わないよう求め、今回の代表選でも連合関係議員が枝野氏支持を渋る理由の一つとされていた。枝野氏は21年衆院選で敗北して党代表を退いた後も、23年8月に発表した自身の政策集に「一日も早い原発ゼロ」を掲げていた。
だが、今回の代表選公約では「原子力エネルギーに依存しない社会を目指す」との文言にとどめ、「ゼロ」を使わなかった。会見で「より分かりやすい、クリアな表現をあえて用いた」と強弁したが、連合の意を酌んだことは明らかだ。枝野氏周辺は「連合ともうまくやっていくために表現をマイルドにした」と認めた。
枝野氏は共産と21年衆院選に際し「限定的な閣外協力」で合意。これも連合や保守系が枝野氏再登板を敬遠する原因となっていた。この日の会見では地域ごとに野党候補一本化を目指すと主張、「立憲共産党」色の払拭に努めた。共産との関係に関し「逆にあの経験があるから、同じ失敗をしないと自信を持って答えたい」と強調した。
60歳の枝野氏では刷新感に乏しいとの見方もあるが、会見では「米国でバイデン大統領から世代交代のバトンを受け取ったカマラ・ハリス副大統領と同じ1964年の生まれだ」と訴えた。
時事通信 政治部2024年08月22日08時51分配信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024082100875&g=pol
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