ピアニスト、ワイン愛好家として知られ、各国に外交官として赴任した大江博・元駐イタリア大使に異色の外交官人生を振り返ってもらった。
上司「法案、今日中に書け」と号令
《２０００年から約２年間、条約課長を務めた。米国で翌年、同時多発テロが発生し、対応に追われた》
日本でテロ特別措置法を作ることになりました。よく「大江は法案を一夜で書き上げた」などと本や雑誌で紹介されますが、
実は１時間ぐらいで書き上げたのです。
ゼロから法律案を書くと時間がかかる。
このため、周辺事態法の条文を机に置き、それを見て修正する形で、若い事務官に口述筆記させたのです。
外務省の谷内正太郎総合外交政策局長からは、「今日中に作れ」と指示されました。というのは、防衛省と外務省との間で、
法律を作るべきか否かの議論があり、防衛省は「法律を作るのは時間がかかって無理。周辺事態法で対応すべきだ」との立場だったからです。
◎存在すら「秘」の部屋
《０１年、松尾克俊要人外国訪問支援室長の機密費横領事件が発覚。日本中が大騒ぎとなった》
省内も同様でした。会計課長や総務課長らが発覚後の対応で体を壊したりする中、私は条約課長の仕事をしつつ、存在すら「秘」
という部屋に押し込まれ、対応を任されました。国会で毎日質問されることになるからです。
ただ、私は会計の〝カ〟の字も知らない。会計のイロハから会計課の課員に教えてもらいました。ところが、過去の経緯を調べようにも、
関係者は入院し、よく分からない。毎日、夜中まで、苦労しながら対応にあたりました。
◎六本木のサウナで慰労
国会答弁を準備する１０人ぐらいのチームを作り、書かせた答弁を私が深夜に決裁。翌朝一番で、河野洋平外務大臣に説明する
という日々でした。
ある日、谷内さんがふらりと私の前に現れた。「チョッと出よう」と。私たちが向かったのは、東京・六本木にあるサウナでした。
裸になって室内に入ると、彼から「君には迷惑をかけるねぇ」と、ねぎらいの言葉を掛けられました。あの人に頼まれると、
仕方ない、と思ってしまう。彼は人たらしです。
◎有能な３５歳の首相秘書官……（以下略）
産経新聞 8月26日
https://www.sankei.com/article/20240806-LBBTAMPXLVHSNJNLG2JI7MDWII/
◆ニュー速＋ 記事情報提供スレ 149◆より
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