札幌ドームを管理・運営する札幌市の第三セクター「札幌ドーム」の2024年3月期決算は、最終的なもうけを示す純損益が6億5100万円の赤字となった。赤字転落は3期ぶりで赤字額は想定の2倍を超えた。
プロ野球北海道日本ハムの北広島市移転で、イベント日数が前期比26日減の98日にとどまったことが影響した。年2億5千万円以上で公募しているネーミングライツ(施設命名権)も契約に至らなかった。
収支改善は待ったなしだ。
ドーム社は24年度のイベント日数を123日と見込み、ネーミングライツ契約を実現させ、広告収入も増やして黒字転換を図るとしている。
だが日ハム移転のマイナスを埋めるのは簡単ではなく、見通しは厳しいと言わざるを得ない。運営を効率化し、アイデアを集め、新たな収益の柱を育てる努力を尽くしてもらいたい。
札幌ドームはサッカーの02年日韓ワールドカップ(W杯)を開催するため建設された。W杯後も考え、野球やコンサートなど多目的に利用できる全天候型のスタジアムとなった。積雪寒冷地の道内で貴重な施設だ。
W杯後、宮城スタジアムでは一時、解体論が出るなど、開催自治体は「負の遺産」に苦しんだ。札幌ドームは日ハムが04年から本拠地としたことで安定経営が実現した。
その日ハム移転で、当初の経営環境に戻ったともいえる。ドーム社の真価が問われる。
新たな収益源として見込んでいたのが、中規模コンサート用の「新モード」だ。ドーム内を暗幕で半分程度に仕切り、観客数を減らす。ただアーティストにとっては「ドームを埋められない」と見られる不安もあり、23年度は3日にとどまった。
一方、4月にはラグビー国内最高峰「リーグワン」の道内初公式戦が開催された。関係者は空調が整った屋内の試合環境を高く評価している。ドームの価値をPRし、利用につなげるあらゆる営業努力が欠かせない。
ドーム社は札幌市から指定管理費を受け取っていないが、ドームを所有する市は利用を後押しする。本年度は1億4千万円を計上し、アマチュアの各種大会やサッカーの北海道コンサドーレ札幌などに助成している。
山川広行社長は先月の株主総会後、記者団に「損失は25億円ある内部留保で賄う」と述べた。ただ、赤字が続けば公費投入の議論が浮上しよう。
ドーム社と札幌市は、それぞれの役割と重い責任を自覚しなければならない。
引用元: ・【経済】札幌ドーム赤字「収益改善待ったなし」ネーミングライツ(施設命名権)実現させたい [Gecko★]
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