医療介護の現場は人手不足だ。
ー中略ー そんな中で、私がもう「これしかない」と思っているのが「外国人介護士の導入」である。
日本人がダメなら、外国人にお願いするしかないわけで、実際、介護の現場では、中国、ネパール、ベトナム、フィリピンなど
海外から来られた方を見かける機会が多くなってきた。
・差別的なクレームの嵐
私どもが運営している有料老人ホームでも、現在はフィリピンなどからやってきた女性たちに就業して頂いている。
利用者たちからの評判も上々だ。
ただ、ここまでくるのに時間がかかった。問題は彼女たちには無かったが、我々日本人の心の中にあったからだ。
私たちが最初に外国人労働者の雇用したのはコロナ前になる。ジャスミンさんというフィリピン人女性だ。
ジャスミンさんは、フィリピンでは中規模病院の手術室に勤務していた大学卒の元看護師である。フィリピンの看護師は
日本よりもずっと裁量権が広く、単純な病気であれば医師同様に診断を行い処方もしてきた。
豊富な知識を有し、救急医療のシビアな現場を幾度となく潜り抜けてきた経験がある人物だった。
ところが彼女を雇用して間もなく、要介護者やその家族周辺からクレームが殺到した。
クレームといっても、彼女が仕事上でミスをしたわけではない。外国人だからという漠然とした不安からくるクレームである。
「外国人なんかに自分の体を触られたくない」
「なにを考えているのかわからないから怖い」
「うちの親はぜひ日本人でお願いしたい」
と申し出る家族もいた。
その中でも、ジャスミンさんに特に厳しく接したのが、利用者の春江さん(84歳)だった。
「言葉が通じなくて、私たちの気持ちがわかるの? 外国人を入れるなら、私は他所の施設に移るわ」と捲し立てた。
入浴の際などは、ジャスミンさんが担当になると露骨に嫌悪の表情を浮かべるほどだった。
我々が何をどう説得を試みても春江さんは嫌がり、ジャスミンさんも辛かったと思う。
・差別が消えた
さて、それから数年が経過した現在の状況であるが――。
ジャスミンさんは施設でも1、2位を争うほど人気のヘルパーになっていた。春江さんも手の平を返し、
「私はジャスミンが大好き。介護もジャスミンにされるのが一番いい」
とジャスミンさんにべったりで、「難しい漢字は私が全部書いてあげるからね。困ったことがあったら私に言うんだよ」と、
ジャスミンさんが書く日報を手伝おうとするくらいである。
私たちが両者を打ち解けさせるために有効な何かができたわけではない。すべては彼女の人柄と行動が、
自然と周囲を変えたと感じている。きっかけはコロナの“集団感染”だった。
・息子より頼りになる
デイサービスの利用者のひとりが熱を出すと、瞬く間に感染が広がっていった。重症者は施設内の居室に
急ごしらえで作ったシェルターに入ってもらい、感染防御をしたスタッフが当たった。
軽症者については自宅に戻って貰ったが、訪問介護でスタッフを派遣し、食事をつくって送り届けた。
当然のようにコロナはスタッフにも感染が広がり、出勤不可能となる者が出てきて、感染こそ免れた濃厚接触者のスタッフも
自宅待機となり、現場は圧倒的な人手不足となった。
春江さんもコロナに感染し、軽症だったため自宅に戻って貰ったが、コロナ感染にくわえ、本人の気難しい性格もあいまって
息子も寄り付かなかった。
そんな中、春江さんの自宅に毎日食事を送り届けたのが施設内でのコロナ感染を潜り抜けて“無事”だったジャスミンさんだった。
天真爛漫を絵にかいたような性格のジャスミンさんは、嫌われようがお構いなしで、
「ハルエサーン ショクジ モッテキタヨー」
ー後略ー
全文はソースから
現代ビジネス 6/20(木) 8:33配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/48c5ebd9432b56f730eef91828425366b5344303
引用元: ・「外国人に体を触られたくない」「言葉が通じないのに何がわかる」…頑なだった84歳女性がフィリピン人介護士に心を開いた [6/20] [仮面ウニダー★]
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