英国がん研究基金(Cancer Research UK)によると、がんの診断件数は中高年層よりも若年層の間で、より急速に増加しているという。
そして、若い世代の罹患率の上昇は、「肥満のまん延と、安価なジャンクフード、運動不足」の影響だと指摘されている。
調査の結果、イギリス国内でがんと診断された50歳未満の患者の数は、過去20年の間に24%増加していた。これは、その他のどの年齢層の人たちよりも大幅な増加となっている。
がんが見つかる人は、いまも約9割が50歳以上だが、2017~19年には1日あたり約100人の若年成人が、がんと診断されていたという。
英国がん研究基金のチャールズ・スワントン教授は、「若い成人のがん罹患率は、ここ数十年の間に目立って上昇しています」と述べている。
データによると、25~49歳の診断件数は、2019年には約3万5000だった。だが、1995年に10万人あたり132.9人だったこの年齢層の罹患率は、2019年には同164.6人に増加していた。
そのほか、診断件数が2番目に大きく増加していたのは、さらに若い25歳未満の人たちだったことがわかっている。
1995年の10万人あたり16.6人から、2019年には同19.2人に増えていた。罹患率は、16%上昇していたことになる。
2024年5月31日(現地時間)から開催されていた米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology、ASCO)の年次総会では特に、こうした若い世代の患者の増加が注目された。
スワントン教授は、「ライフスタイルと食習慣の変化、肥満の人の増加が、原因の可能性がある」と指摘したほか、「遺伝学、診断・検査の精度の向上、そして(人々の)マイクロバイオーム(腸内細菌叢)も、関連している」との見方を示している。
現在、がんが「より若い人の病気」に変化しつつある原因を明らかにしようと、研究が進められている。そして、研究はいまだ初期の段階にあるものの、いくつかの手がかりが得られ始めている。
スワントン教授はこれについて、次のように述べている。
「患者10人のうちおよそ4人のがんは、予防することが可能だったと考えられます。がんの罹患リスクを低下させるために、皆さんが自分でできることがあります」
「喫煙しないこと、健康的な体重を維持すること、日焼け対策をすること、そして飲酒量を減らすことです。これらははすべて、大きな違いを生み出すことになるものです」
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