5月30日、ウクライナ軍参謀本部はATACMS弾道ミサイルでクリミア半島ケルチの鉄道フェリーターミナルを攻撃し、
接岸停泊していた鉄道フェリー2隻を撃破してうち1隻を座礁させたと発表しました。出典:ウクライナ軍参謀本部
射程300kmの単弾頭のATACMS後期型が使用されています。
クリミア大橋(ケルチ大橋)は目の前です。橋を狙えるのに敢えて後回しにして、代替輸送用のフェリーを先に狙ってきました。
狙われたケルチの鉄道フェリーターミナルはクリミア港とケルチ港の2カ所です。
ウクライナ軍参謀本部より鉄道フェリー撃破(座標:45.364965, 36.627206)
2:ケルチ港の鉄道フェリーターミナル
https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/obiekt/01786068/image-1717095186121.jpeg
ウクライナ軍参謀本部より鉄道フェリー撃破(座標:45.337133, 36.464916)
クリミア港1とケルチ港2の位置
https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/obiekt/01786068/image-1717104118786.png
Google地図より2つあるケルチの鉄道フェリーターミナルの位置(1、2)
1.クリミア港(フェリーターミナル):鉄道フェリー「Avangard」
2.ケルチ港(漁港ターミナル):鉄道フェリー「Conro Trader」
3.ケルチ港(クリミアターミナル):自動車フェリー×3隻
4.カフカス港(フェリーターミナル):1~3のフェリー全て、ロシア本土側
2のケルチ港の鉄道フェリーターミナルは「漁港」という名前ですが、元々は漁港だったのを用途変更したものです。
1のクリミア港は小さな港なのでフェリーターミナルに固有の名前はありません。
なおクリミア港は戦争の前から利用数が減っていたのでフェリーは休業状態にありました。
ただし戦時輸送に利用されています。今回撃破されたロシアの鉄道フェリーは以下の2隻だと推定されています。
1.「Avangard」 Ro-Ro Cargo IMO: 9522403 «Авангард»
2.「Conro Trader」 Ro-Ro Cargo IMO: 7711763 «Конро Трейдер»
ウクライナ軍はクリミア大橋を狙わずに、先に付近の鉄道フェリーを攻撃しました。
ロシア軍はATACMSを迎撃できなかった以上、橋の方も何時でも破壊されてしまうことを意味します。
ウクライナ軍の意思で橋を攻撃しなかったのか、それともアメリカの攻撃許可がまだ出ていなかったのかどうかは分かりません。
実のところクリミア大橋は既に度重なる攻撃を受けて損傷が蓄積して通行に重量制限が課せられており、最近では軍事輸送の利用は低調なものとなっています。
ロシア軍はウクライナ南部の陸の回廊でクリミアとロシア本土の輸送を主に行うようになっているので、
陸の回廊をウクライナ軍が地上進出して寸断しないかぎりは橋の方を破壊する戦略的な意味は低くなっています。
それでも「クリミア侵略の象徴の橋を落とした」となればウクライナ軍と国民への士気高揚の効果は高いでしょう。
しかし橋を落とせばロシア側が激怒して苛烈な報復を産むことは必至であり、橋の破壊を実行すべきかどうか、
ウクライナは、いやアメリカは難しい判断を迫られています。
果たして今回の鉄道フェリー攻撃は橋を破壊するための計画通りの布石なのか。
それともアメリカがまだ橋の破壊を許可しておらず、橋を破壊したがっているウクライナが意思表示として鉄道フェリー攻撃を行った可能性も考えられます。
※追記:ケルチの鉄道フェリー攻撃の翌日の5月31日にウクライナ軍参謀本部は「ネプチューン対艦ミサイル(対地攻撃用に改造した巡航ミサイル型)で
カフカス港(ケルチ海峡のロシア本土側)のフェリーターミナルと石油タンクを破壊した」と発表。出典:ウクライナ軍参謀本部
※ウクライナ国産のネプチューンは射程300km以上あることが確定し、これはアメリカの攻撃許可を必要としない。
引用元: ・ウクライナ軍がATACMS弾道ミサイルでケルチの鉄道フェリー2隻撃破、クリミア大橋が目の前の位置 [ごまカンパチ★]
コメント