「(その女性の)敷地はごみ捨て場で、家に帰った彼女が、玄関のドアを開けるために苦労する声が聞こえてくるほどごみで埋め尽くされています」と近隣住民は語り、ごみ屋敷に放置された腐った食べ物のためネズミが発生していると、市に被害を受けていたという。
再三にわたる要求にもかかわらず、ごみ屋敷は幾年も適切に管理されず、とうとう、管財人の管理下に置かれて外部の団体が清掃の責任を引き受けることになった。
清掃には莫大な費用がかかるだろう。
ごみ屋敷を放置すると、ネズミや害虫が発生するという以上に深刻な問題が起こる可能性もある。テキサス州のヒューストンでは、警察官や消防士らが、防護服、手袋、マスクに身を包み、ごみ屋敷の住人である70代半ばの男性の遺体を探さなければならなくなった。
ABCネットワークのヒューストン支局ABC13によると、「死体捜索犬が、4フィート(約1.2メートル)ほどのごみの下に、非常に腐敗した遺体を発見した」という。
ニュース記事には死因についての言及はないが、歩く隙間もないほどモノで埋め尽くされた家が、衛生的で健康に暮らせる状態ではなかったことは明らかだ。
また、具合が悪くなって助けを求めたくても、モノが多すぎて玄関まで辿りつけなかった可能性や、家の内外にたまったごみのために近所付き合いが減って声をかけられることが少なくなり、身体の調子が悪いまま孤独死となったことも考えられる。また、何らかの拍子に多くのモノがあちこちから落ちてきて圧死という可能性もあるだろう。
ごみ屋敷は、見た目が悪いだけでなく、近隣住民にはもちろん住んでいる住人にも危険なのだ。
◆ごみ屋敷は精神疾患が原因 治療に新アプローチ
英語圏では、ごみ屋敷の住人を「ホーダーズ」と呼ぶ。「ためこむ」という意味を持つ英単語「hoard」からきている。ホーダーズは、部屋を片付けられないだらしない人ではなく、「ホーディング障害(ためこみ症)」と言われる精神疾患を患っていることが多い。
モノを捨てる、手放すという行為に、もったいないという気持ちをはるかに超える強迫観念を抱いてしまうのだ。
また、孤独や社会的失敗などの何らかのストレスが引き金になり、捨てられなくなってしまうというケースもある。
この精神疾患に対してはいくつかの治療法が確立されているが、代表的なものは認知行動療法(CBT)と呼ばれるものだ。
物事の捉とらえ方や行動を見直し、ため込んでしまう気持ちや行動を管理する方法を学ばせるものだが、医療技術が進歩するなか、専門家たちは今、新しい治療法を模索している。
その動きの一つとして、スタンフォード大学では、バーチャル・リアリティ技術を使った新しい戦略を模索している。
ホーディング障害を患っている患者にバーチャル・リアリティ技術を使ってモノを捨てる感覚を体験させ、その利点を感じさせることでためこみを治療するものだ。
実生活でモノを手放すように促すのはハードルが高いが、バーチャル・リアリティで練習してからなら、よりスムーズに行うことができる。
Journal of Psychiatric Researchに掲載されたこの研究報告によれば、「参加者の78%が、バーチャル・リアリティが現実にモノを捨てることに役立った」と報告したという。
現代社会では、経済的に豊かに、さらに便利になった反面、孤独を感じる人が増えた。
ためこみによるごみ屋敷問題も、現代社会が増長させた問題だ。新型コロナウイルスのパンデミックで人とのつながりが希薄になり、さらに精神疾患を患ったり、ストレスを感じる人は増えている。
現代社会がもたらした闇に、日進月歩の医療や科学技術が追いつく日が早く来ることに期待したい。
引用元: ・【研究】ごみ屋敷は精神疾患が原因「ホーディング障害(ためこみ症)」
必要なものだ
やっぱり要らない気がして捨てたあとに
やっぱり必要になったら誰が責任を取るんだ?
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